2019.9.28公開記事
● 関係のない「所管外」の維新の橋本、松井、吉村らが、なぜ「海洋放出」を進次郎に強要するのか?
なぜ関係のない松井や橋本など維新の連中が必死に口を出すのか?進次郎に対して「海洋放出」に逃げずに向き合えというのは、それこそ「所管外」の余計なお世話だろう。いったい何が起きているのか?こういう企みの裏には必ず安倍がいる。
「お・も・て・な・し」と「な・か・み・な・し」の結婚で注目を集めて、環境大臣の椅子をゲットした進次郎。前大臣の「海洋放出」の引継ぎ事項発言に「所管外」と逃げを打ち、猛反発の声を上げて前大臣発言に抗議した福島の漁業関係者にいい顔をしようと、9月11日にセクシーだが中身のない発言で火消しに追われた。確かに汚染水対策は経産省管轄だが、しかし原子力規制委員会は環境省の管轄(外局)である。
すると9月13日関係のない吉村大阪府知事が「前大臣の発言を失言で片づけるな」とツイート。更に9月14日、関係のない橋本までがツイッターで「海洋放出に向き合え、進次郎逃げるな。吉村の方が優勢」と尻叩き。9月15日再度吉村が「小泉大臣が腹をくくれば地方の政治家もついてくる」とツイート。
新大臣の進次郎に対して、日本の維新の知事や元代表が関係のない問題に首を突っ込んで「海洋放出」を促す、不自然な「汚染水の海洋放出」騒動。安倍への反撃に燃える韓国は、安倍の弱点を常にウォッチしている。
9月16日、IAEAの総会で、韓国が日本の汚染水対策の不透明さを突いて、IAEAの査察を受け入れるよう要求した。それに対して日本の在ウィーン国際機関代表部の引原大使は、「処理水は日本政府の小委員会で精査中(海洋放出は未決)」と批判をかわした。
だが翌9月17日、ツイッターでは、IAEAの騒動を進次郎は気付いていないと判断した松井がTVの記者会見で進次郎に橋本や吉村と同じ内容のメッセージを送った。
<騒動の経緯>
・9.10:原田・前環境大臣が退任時の記者会見で「汚染水は海洋に放出して希釈する他に選択肢はない」。この発言に地元漁業関係者らが猛反発。
・9.11:小泉環境大臣就任時、前任者の発言について問われ「所管外」として逃げを打つ。
・9.13:関係のない吉村大阪府知事が、「前大臣の発言を失言で片づけるな」とツイート。
・9.14:関係のない橋本徹が、「海洋放出に向き合え、進次郎逃げるな。吉村の方が優勢」とツイート。
・9.15:吉村大阪府知事が、「小泉大臣が腹をくくれば地方の政治家もついてくる」と更にツイート。
・9.16:IAEA総会で、韓国が日本の不透明な汚染水対策を非難。IAEAの査察を受けるよう要求。
・9.17:松井・大阪市長「処理済汚染水は海洋放出すべき、大阪湾での放出も可能」と言及。
だが問題は、安倍や橋本ら維新が(おそらく忖度TVメディアも参加して)、「海洋放出しかない」、「トリチウムは安全」と国民に洗脳を企んでいることである。
(海洋放出は日本だけで決める問題ではないことを分かっていない安倍と維新。 サンデーモーニング 2019.9.22)
2019年9月22日のサンデーモーニング、寺島実郎コメンテーターがこの問題の重大性について、的を得た発言をしている。
寺島氏「日本人からみると韓国が嫌味を言ってきていると捉えがちだが、日本には責任がある。2020年のオリンピックを含めて、汚染水はキチっと制御していると(安倍はそう世界に約束してオリンピックを招致した)。そのためには韓国との問題ではなくて、国際的に納得のいく仕組みを作って透明性高く説明する責任がある。そうであるならば、IAEAで韓国がそう言っているなら、IAEAで共同の検証のタスクフォースを作って韓国をも巻き込んで、こういう形で努力して制御しているが、じゃどうしていきましょうか?という広い視野度量を示さないと、いま国際社会の中で、日本に対する眼差しは非常に厳しい」
この寺島氏の言葉を理解するためには、6年前の2013年9月頃に戻る必要がある。
- (ポリティカル小説)アベ「私は国家私物化システムの構築で忙しい。汚染水ぐらいで邪魔するな!」
2012年12末、アベと棄民党が悪夢の政権帰り咲きをした。そのころ福島第一の状況は、汚染水はダダ漏れ状態。粗雑なタンクからも高濃度汚染水が漏れ出し、地下水や海へ流入流出していた。国内だけでなく海外の専門家も警告と非難を続けていた。東電は国の本格的なバックアップがない中で、混乱の放射能現場でドタバタしていた。
悪夢の政権誕生から5日後に2013年が開けた。
アベは忙しかった。コーノイケなどを通じてカゴイケに「アベシンゾウ記念小学院」建設準備をさせ、お友達に税金をバラまくための私物化システム、日本経済再生本部や国家戦略特区の設置をタケナカなどに準備させていた。カケのためには今治に獣医学部新設のための布石、教育再生実行会議を立ち上げ、「愛媛の妖怪」カトをメンバーに潜り込ませた。5月5日には、アベの別荘に加計やカバ男・ハギューダらを呼んでバーベキューを食べながら悪だくみ。3日後の5月8日にカトが第7回教育再生実行会議で突然獣医学部新設について語りだすという手際の良さ。
アベの眼中には、福島第一の深刻な汚染水漏れのことなど微塵もなかった。
だがアベマリオは、プロモーションビデオを撮る段階になって気付き始めた。タケダとデンツーから、7月にラミーヌ・ディアックIAAF元会長の息子に、シンガポールの実体のないペーパーカンパニーを通じて大金を振り込んだので、東京汚リンピック招致はほぼ確実だと連絡を受けて安心していたが、9月7日のブエノスアイレスIOC委員会総会でのプレゼンテーションが近いことを思い出した。東京汚リンピックを確実に勝ち取るには、福島第一の汚染水対策に取り組んでいるというフェイク・パフォーマンスも必要だと思い立った。そこで同7月に、原子力規制委のタナカ委員長(日本原子力ムラの村長)やトーデンを呼んで、汚染水の海への流出を認めさせて、抜本的汚染水対策を9月3日に公表するので、それまでに対策案を持ってくるよう言い渡した。IOC総会のためとはいえ、そんな短期間で抜本的な対策案などできる訳がない。あればとうの昔に手を打っていた。
- 信頼をなくした日本政府、原子力規制委、東電。東電汚染水漏れを無視して、国内外から批判。
(怠慢な東電監視姿勢に対し、外国特派員協会でつるし上げを食う田中原子力規制委員会委員長。自業自得。報道ステーション 2013.9.2)
2013年9月2日、翌日の汚染水抜本的対策の発表を控えて、原子力規制委の田中委員長は外国特派員協会で記者会見を行った。
田中「国際社会に大変なご迷惑をかけたことを十分に反省しています(<申し訳ありませんでした。謝罪します>がない)。皆様の力をお借りして世界に正確な情報を、適時適切に発信していくよう努力したいと思います」殊勝な態度をみせた。
だが外国人特派員の質問は厳しかった。
特派員A「(タンク漏れが続いていることで)タンクの監視人数が少ないと聞いています。原子力規制委の失態だと認めますか?」
田中「確かに国際社会、外の方から見れば<私どもの監督が十分でなかった>という責任はあるかと思いますが、ここで言い訳をするつもりはありません。(なぜ認めると言わない。単に<外のそういう見方はある>と認めただけ)」
英<エコノミスト>特派員「(汚染水貯蔵)タンクに水位計がないのは理解できない。資金不足なのか?原発再稼働ばかり考えていたからか?」
田中「お金がなかったというよりは、急場しのぎの対応をしてきていますので、様々な抜けがあったと考えています」
田中は環境省外局である原子力規制委員会の委員長。国の官僚である。国がケチッて東電に金をかけたくなかった、とは口が裂けても言えるはずがない。全て東電の責任であることに終始。そして「最終的には海洋放出以外に方法はない」との考えを示した。(AFP BBニュース 2013.9.2 注:AFPは仏の最大の通信社で世界最古の報道機関Wiki)
海外特派員からは批判的意見が相次いだ。不信感が払しょくできないからだ。
経済アナリストのピーター・フックス氏は、
「オレゴンとかカリフォルニアの海岸沿い市民は、非常に不安に考えている。それに十分に日本側が答えていないような気がする」
南ドイツ新聞のクリストフ特派員は、
「東電を国有化して(日本)政府が対応すべきですが、政府だって信用できません。今の政権は福島には関心がなく、他の原子炉を動かすことに興味を持っている。それは間違っている」
(深刻な汚染水漏れが続いても、安倍は汚リンピック招致ファースト。報道ステーション 2013.9.2)
記者会見の当日も福1では汚染水漏れが続いていた。タンクからではなくタンクとタンクを繋ぐ配管から、90秒に1滴の漏れが見つかり、毎時220mSvという高放射線が出ていた。また記者会見終了後のPM9時19分、別のタンクから毎時100mSv以上の汚染水漏れを発見したと東電が発表。
国会は閉会中であった。衆議院では9月初めに衆院経済産業委員会で汚染水漏れを審査する「閉会中審査」する予定だった。しかし5日後に開催されるブエノスアイレスでのIOC委員会総会で、2010年のオリンピック開催地が決定されるので、オリンピックと汚染水が結びつけられるとマズイという理由だけで自民党が審査延期を決めた。
当時はまだ安倍独裁が進んでいなかったので、報道ステーションも「黒は黒、白は白」と報道の中立公平がかなり守られていた。古館MCも恵村論説委員も、「国会はいつまで休んでいるのだ。内外ともに問題山積している。閉会中審査を延期している場合ではない」と批判した。
- 凍土壁は失敗、汚染水対策は破綻、勝手に海洋放出を決めて実行したら、トリチウム・テロ国家だ。
9月(2013年)になって、ようやく国が前面に立ち、470億円の国費を投入して対策を講じることを発表。
9月7日には、安倍はブエノスアイレスでのIOC委員会総会で、「状況はコントロールされており、全く問題はない。汚染水の影響は原発の港湾内の範囲で完全にブロックされている」と大嘘を世界に向けて高らかに宣言した。
当時の福一の現状は、山側から約1000t/日の地下水が海側に押し寄せていた。そのうち約400tが損壊した原発建屋に流入、放射性物質に接触し高濃度汚染水となっていた。約400t/日を汲み上げ山側に設置されたタンクに貯留していたが、タンク漏れが次々と発生。また建屋周辺と海側にトレンチという地下トンネルが伸びていた。そのトレンチに地下水の残り約600tが流入し、汚染源に触れ汚染水として推定で約300t/日が海に流出しているという深刻な状態が続いていた。
更にトレンチから採取した汚染水の分析を、原発敷地内にある「放射化学分析室」で、24時間体制50人〜60人で行っていたが、人手不足で限界状態。専門知識を持った作業員の確保が十分できていなかった。
(疫病神・安倍の無知・無関心が招いた危機。 クローズアップ現代「最新報告 汚染水クライシス」 2013.9.11)
9月3日、国が示した汚染水対策の柱は2つ。
①地下水バイパス:地下水が建屋に流入する手前に井戸(ドレイン)を掘り、地下水を汲み上げ、浄化後海に放出。
②凍土壁:345憶円を投じて、4つの建屋を、総延長1.5km、深さ30mの凍結壁で取り囲み、地下水を完全に食い止める前代未聞のプロジェクト。
(汚染水は完全コントロールと国際公約した安倍。今更、海洋放出はないだろう。 クローズアップ現代「最新報告 汚染水クライシス」 2013.9.11)
「国が前面に立ち、汚染水を完全にコントロールします」と国際公約をして東京に汚リンピックを招致した安倍。
結果はどうなったのか?
「タンクの増設が限界に近付いているので海洋放出します」
これを勝手に決めて実行したら、世界の人々は「日本は公約を守った」と喜んでくれるだろうか?
「ふざけるな!日本」と世界中が怒るだろう。
2011.3.11にスリーマイル島やチェルノブリの事故を超えるメルトダウン事故を起こした福島第1。放射能を世界中にまき散らし2年4カ月も汚染水を海洋にタレ流しながらそのことを認めずに黙っていて、「日本政府の責任でもって汚染水問題を完全解決します」と世界公約したと思ったら、「トリチウム以外の放射性物質も残っているかもしれない汚染水を海洋放出します」と勝手に宣言する。
日本には加害者意識が欠けているのだ。元徴用工問題、従軍慰安婦問題、南京事件など、未だ率直な姿勢で正面から加害行為を認めようとせず、隣国といつまでもこれらの問題を引きずるのは、加害者としての責任感が希薄で疎いからだ。だから中国などから「反省しない国民性」、「うわべだけの謝罪でちゃんと反省しない」と揶揄されるのだ。
上記で寺島実郎さんが「世界の日本をみる眼差しは相当に厳しい」と苦言を呈した理由がお分かりだろう。
9月16日のIAEAの総会で、韓国からこの点を指摘されて、引原大使が「処理水は日本政府の小委員会で精査中(海洋放出は未決)」とアイマイな回答をした理由もお分かりだろう。エロ・アニメ好きの竹本科学技術相は、韓国の指摘に「風評被害を広めている国がある」と暗に韓国を非難したが、日本で通用する「風評被害を広める人」とレッテル貼りをして、反原発派や海洋放出反対派を言論封殺する手法は世界では通用しない。反対に韓国からIAEAの現地調査を受け入れるよう要求されてしまった。
東電は2016年6月26-27日の間、「極力リスク低減のため、伊勢志摩サミット中は必要以外の作業を中止する」と発表した。汚リンピック1年前に海洋放出をしてタンク満杯危機を回避しておけば、世界から汚染水問題を指摘されることはなくなる。すべて順調に進んでいると。
チコちゃんなら「日本人よ、ボーと生きてんじゃねえーよ!」と叱るだろう。
16才の環境活動家グレタ・トウーンベリさんなら「日本人は、お金と経済発展と原発再稼働の話ばかりをする。これだけ世界を汚染させておいて、恥ずかしくないんでしょうか!日本人を許さない!」と涙ながらに訴えるだろう。
- 汚染水は今? いまやるべき事はF35の爆買いやアメリカ余剰トウモロコシを買うことではない。
経産省・資源エネルギー庁、原子力規制委員会、東電は、汚染水対策は着実に効果を上げている、対策前の1/3に減少していると成果を誇るが、大本営発表と同じである。
現在(2019.9.27)の汚染水発生量は約170t/日。資源エネルギー庁は2020年内にこれを150t/日まで低減する目標だという。これ以上打つ手なし・やる気なしと宣言しているのと同じだ。
凍土壁は一定の地下水流入低減に貢献はしているが、止水には至っていない。
海外の評価も厳しい。「壁というより穴の開いたフェンスに近い」と酷評している。(ロイター 2018.3.8.)
この汚染水対策の失敗は、安倍の原発への無知・無関心、国際公約である汚染水対策の完全解決への熱意の欠如、官僚風を吹かす原子力規制委員会の東電・建設会社(凍土壁は鹿島主体)への傲慢な姿勢が原因である。
地下水の流入を止めなければ循環冷却はできず、汚染水は発生し続ける。
このような無能な連中にまかせていては、日本は汚染大国になるのは確実だ。
嘘と隠蔽を得意とする詐欺集団に任せたままではいけない。
タンク増設の敷地はタップリある。循環冷却を達成するために流入地下水の止水にもっと税金をかけるべきだ。雨水対策にも思い切ったプロジェクトが必要だ。トリチウム低減分離も可能だ。「トリチウムは除去できない」と思い込んでいる人は、既に海洋放出派の大本営発表に洗脳されている証拠である。国際基準(ICRP等)という政治的妥協で決められる基準を盲目的に信じるのは、放射線の危険性を他人まかせにする大バカである。