宇宙3美女、揃い踏み

    • TNG・30話「コンピュータになった男」

「THE SCHIZOID MAN」1989/1/23米放映 宇宙暦42437.3

若い助手カリーン・ブリアノン(バーバラ・アリン・ウッズ)と一緒に小惑星で研究を続けていたアイラ・グレーブス老博士(W・モーガン・シェパード)。不治の病に罹ったためカリーンが救難信号を発した。それを受信したエンタープライズが救助班を小惑星に派遣した。第2副長兼科学士官データ少佐、保安部員ウォーフ中尉、カウンセラー・ディアナ・トロイ少佐、バルカン人士官でドクターのセラー大尉(スージー・プラクソン)たちだ。

頑固で人嫌いで口の悪い博士は死期が近づいていた。エンタープライズに転送して治療すべきとセラー大尉が進言するが、博士は激しい口調でそれを拒んだ。そして死期が迫っている老人とは思えない軽口をたたいた。
セラー大尉とトロイに対して「2人ともなかなかのいい女だな」と。
この老人の女性好きはこのストーリーの伏線の1つ。無駄なセリフではないのだ。後になってそれが分かる。

そのためなのか、いつも色っぽい服装の「胸開け」トロイのほかに、カリーンやセラーなどの美女を揃えたのかと勘ぐってしまった。セラー大尉役のスージー・プラクソンは長身でグラマー、美人とスーパーモデル並みに際立っている。

 

 

 

 

 

 

そして博士がなくなった。しかしデータが博士の死に際まで行動を共にしていて、重要なことが判明した。データを創ったのはスン博士だが、実はグレーブス博士はスン博士の恩師。スン博士がデータの「生みの親」ならグレーブス博士は「祖父」に当たる存在だったのだ。
博士が死んで小惑星に留まる理由がなくなり、カリーンはエンタープライズに乗船し小惑星を離れることになった。
やがてデータの言動がおかしくなり始めた。

<蛇足>

美女と言えばこの方を忘れてはいけない。
ヴォイジャーのセブンの仮装をしたカナダのモルテラ嬢。地球人もなかなかどうして負けてはいない。詳細は別記事「イエス・キリストのバースデイ?」でご高覧。

 

ライカー副長はうる星やつらの夢をみるか

スタートレックには、宇宙大作戦、ネクスト・ジェネレーション(TNG)、ディープ・スペース・ナイン(DS9)、ヴォイジャー、エンタープライズの5つのTVドラマシリーズと12本の映画版がある。ほかにもアニメやゲームがある。

ここでは主にTVドラマシリーズのトレビアをご紹介。

40話「イカルス伝説」ネクスト・ジェネレーション

「THE ICARUS FACTOR」1989/4/24米放映 宇宙暦42686.4

この作品では舞台セットであるアンボー術の闘技訓練場が話題になった。

アンボー術は暗棒術の意味(多分)で、防具を付け目隠しマスクをして相手の動きの気配を先読みしながら戦う棒術訓練だ。訓練場の縦長の壁面には「うるさい」、「やつら」とひらがなで朱書きされている。円形武台の中央には大きな朱書きの漢字「星」。その漢字の両側にカタカナで「ラム」と「アタル」。円形武台のせり上がった壁面には漢字の「水」とカタカナの「ユリ」。防具の前首辺りには「火 空 水」、「水 地 火」。

スタッフの中に日本の漫画オタク、日本オタクがいたのだ。

ライカー副長と有名な戦略武官であるライカーの父親カイルがこの訓練場で試合を行うシーン。ライカーは長年、父親に深い憎悪を抱き続けていた。ライカーが幼い時に母親が亡くなり、カイルは母親のいない息子を強く育てなければならないと厳しい態度でライカーに接していた。その態度をライカーは冷たい父親として受け止めて育った。アンボー術訓練はいわば二人がお互いの気持ちを曝け出すことができる唯一の場であった。アレ-ス号艦長の退官によりライカーがその後任に指名され、新艦長やアレース号乗員らに対する戦略ブリーフィングのために戦略武官カイルが教官としてエンタープライズ号にやって来た。カイルはトーキョー基地で「風林火山」戦略をまとめた大家として惑星連邦で有名だった。

この「うるさい」「星」「やつら」セットを作ったのはデザイン・スタッフのリック・スターンバック。メガネとチョビ髭が印象的で、天体物理学者で楽しいトーク番組「スター・トーク」のホスト役ニール・ドグラース・タイソン博士にメガネをかけさせて白人にしたような、いかにもSFや「うる星やつら」が大好きそうな人物。彼は熱烈なトレッキーでアーティストでもある。カール・セーガンの科学啓蒙TV番組「コスモス」のアシスタント・アート・ディレクターとして参加したり、映画「ブラックホール」にも参加している。

防具の「火 空 水」などはおそらく当40話の原案・脚本を担当したデビッド・アサエルの指示で描かれたのだろう。「風林火山」戦略や「アンボー術」など日本オタクでないと発想できないストーリーや小道具立てだ。

タイトルのイカルス伝説。ギリシャ神話では、幽閉された塔から鳥の羽をロウで固めて翼をつくり脱出を図ったダイダロスとイカルスの親子の話だ。自分勝手な考えに固執しがちな息子を心配して、「塔から脱出して飛ぶ時は海面の湿気、太陽の熱に注意し、海面近くや上空にも近づくな」と戒めるが未熟な息子は親の思いを聞かない。そういうイカルス伝説から原案を発想したのかも知れない。

またこの40話にはサブ・プロットとして「ウォーフの成長の儀式」についてもストーリー展開がある。こちらの方はもう一人の脚本家ロバート・L・マックローが担当したと考えられる。

果たして立派に成長した息子ライカーと和解したいカイルの思いは叶うのか。ホロデッキで行われるクリンゴン人の儀式とはいかなるものか。それは見てのお楽しみ。