「もちろんクリスマスの日に決まっているじゃないか」と答える人が多いだろう。でもそれはハズレ。
キリスト教をローマ帝国の国教に定めたコンスタンティヌス帝の治世336年12月25日、ローマ・カトリック教会が太陽神ミトラの誕生日とキリスト生誕日を同化させたのだ。キリスト教がローマ帝国内に普及する前からミトラ教はローマ兵士を中心に広く信仰されていた。
(ナショナル ジオグラフィック チャンネル「マグダラのマリア」から)
ミトラ神の誕生日というのは冬至の日であり、その日から太陽は夏至の日に向かって高度と日照時間が増していく。不滅の最高神の太陽の成長は生命の誕生や復活の象徴を意味していたから、イエス・キリストの降誕日に重ね合わせると都合が良かった。
- コンスタンティヌス帝のバランス感覚とキリスト教へのすがる思いの結果。
324年、東部皇帝リキニウス帝をクリュポリスの戦いで破ったコンスタンティヌス帝はローマ帝国の唯一の皇帝となった。
彼は四分割統治の西部副帝から西部皇帝に至る間は慎重に慈悲深い言動を装っていた。312年までは、それまでの軍人皇帝が太陽を最高神として崇拝していた伝統から逸脱するような行為をとらなかった。313年、彼とリキニウス帝はミラノ勅令を発し、キリスト教を公認してキリスト教会の資産返還を東部属州まで広げていったが、ローマの古代神への信仰を制限したり禁止したりする急激な変化は行わなかった。
ローマ帝国は建国から地中海地域一帯を占領支配していく過程では同化政策を推し進めていった。同化はローマ帝国の占領支配における常套手段だった。
<脱線>
新スタートレックに出てくる、あらゆる他星の生命体を同化していく機械生命体ボーグはこのローマ帝国の歴史からヒントを得ているのではないかと思う。
(グラマー・ボーグの<セブン>。スタートレック・ヴォイジャー第72話「名誉の日」から)
(そのセブンを超えてしまったカナダのモルタルさん。あなたが手に持つハンドフェイザー銃で理不尽に撃たれたとしても文句をいう男性は一人もいないでしょう。また他の生命体を攻撃・占領するときのボーグの「お前たちを同化する。抵抗は無意味だ!」の常套句。筆者はもちろん抵抗などしません。喜んで同化されちゃいます。意味不明)
<脱線終わり>
ボーグには神はいないが、ローマは積極的に占領支配地の宗教を吸収同化していった。ローマ神のユピテル、ユーノーなどがギリシャ神話のゼウス、ヘラなどとよく似ているのはそのためだ。
またミトラ信仰の儀式はキリスト教の儀式と非常に似かよった点があった。ワインを血に、パンを聖体にたとえて拝領した。これはキリスト教における聖体の拝領儀式そっくりである。偶然なのか、それとも原始キリスト教がミトラの儀式を取り入れたのか。
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