映画 「モーテル」

<評価>よくできたホラースリラー。ヒチコックの「サイコ」や「悪魔のいけにえ」などからヒントを得たのだろうか。思い出してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

夫婦仲が冷え切ったデビット(ルーク・ウィルソン)とエイミー(ケイト・ベッキンセイル)。高速を降りて田舎道に迷い込んでしまった。悪いことは重なるもので車のエンジンもおかしくなってきた。ほとんどひと気のない道路沿いに古いガソリン・スタンドとモーテルがあったので、車を止めた。すると丁度スタンドの自動車修理工(イーサン・エンブリー)が出てきて修理をしてくれた。再び車を走らせたがまたエンコしてしまった。
仕方なく車を捨て歩いてスタンドに引き返すが、修理工は既に帰ってしまっていた。
そこでそのモーテルに止まるハメになるのだが。恐怖の幕開けである。

2007年公開。翌年2008年に「モーテル2」が製作された。

映画「ミッドウェイ」の寡黙なタクシードライバーの謎

2017.10.31公開記事

映画「ミッドウェー」は米公開1976年6月(日本公開は7月)のユニバーサルの大作映画。日米両海軍の空母機動艦隊同士が激突決戦した太平洋戦争史上有名なミッドウェー海戦を描いている。この海戦で日本側は虎の子の空母4隻と重巡1隻、そして航空機284機を失っている。それに対して米側は空母1隻、駆逐艦1隻、航空機150機の損失。米側の大勝利となった。米側の戦闘評価はこの海戦後米軍が戦略的優位に立ち、その主な勝因は暗号解読の成功だと見ているようだ。

筆者より詳しい専門知識のある方からは、そんな単純なものではないとお叱りを受けるかも知れない。様々な憶測がある「運命の5分間」、航空機決戦に転換せず艦隊決戦を重視した空母運用の失敗、米太平洋機動艦隊の戦力を過小評価した作戦計画、情報戦の軽視など様々な敗因があったと思う。

しかし当ブログの主題は「ミッドウェー海戦の勝敗の真実」ではなく「寡黙なタクシードライバーの謎」。そこに繋ぐためにここでは米海軍情報局(ONI Office of Naval Intelligence)の視点で話を進める。無理な舞台回しですがよければお付き合いを。

  • 真珠湾奇襲情報を隠蔽・利用したキング提督?ヒストリーチャンネル「アメリカ海軍情報部」から

ONIは米軍情報部隊の中で最も長い歴史がある。母体は1882年創設のONIだ。常時海軍関連の情報収集の任務を担当していた。無線が発達導入されるにつれ無線傍受、暗号解読にも注目した。また複葉機が導入されると飛行機による情報収集方法も模索し始めた。第一次世界大戦時、中南米などに敵国ドイツのスパイ監視に工作員を送りこんだりした。その活躍により組織規模は300名に膨らみ戦後も対抗勢力の監視を続けた。

そして満州や中国に侵略を拡大し始めた日本。ONIは脅威対象として日本の海軍状況に注目し始めた。1924年、日本海軍のRED暗号を解読するためローレンス・サフォード大尉が指揮する調査部が発足した。1926年にはその任務をジョセフ・ロシュフォードが引き継いだ。そしてRED、BLUE、PURPLE暗号を解読していった。満州事変、日中戦争と戦火が拡大していったが、米はそのような日本の動向は把握していた。

戦争突入が避けられない緊張状況が続く中、1941年初頭、在日アメリカ大使ジョセフ・グルーがある噂「日本が真珠湾への奇襲攻撃を画策中」と本国へ報告した。ONIはそのことを大西洋艦隊司令長官アーネスト・キング大将に報告したが、キングは無視した
ONIとFBIは真珠湾と米西海岸で日本人スパイの動向を監視していた。ONIはサンフランシスコの717番街のビルの最上階に無線傍受の監視本部を設置した。当本部をエイスワース・フォスマー大尉が指揮した。フォスマー大尉は電気工学の知識がある航海士ロバート・ダンフォース・オッグを盗聴工作員として採用し、日本人スパイが会議で使うチャイナタウンのホテルにマイクを仕掛けさせてすべての情報を盗聴録音させていた。だが米太平洋艦隊司令長官ハズバンド・キンメル大将(米艦隊司令長官も兼務)には切迫する危機を知らされていなかった。真珠湾防衛の責任者、ウォルター・ショート陸軍中将も同様に蚊帳の外に置かれていた。二人は真珠湾攻撃を阻止できなかった責任を問われ解任された。上級情報部の失態のスケープゴートにされたという。

このため大西洋艦隊司令長官キング大将が米艦隊司令長官も引き継ぎ、太平洋艦隊司令長官はニミッツ少将が大将に昇格して引き継いだ。
キング大将はその後、上級の海軍作戦部長の職も兼務することになり元帥にまで昇進している。非常に強引で自説を通す性格であまり人から好かれる人物ではなかったようだ。
これは推測だが、キングは中将を経ず自分を飛び越して上官である艦隊司令長官に就任したキンメルをよく思わず追い落とす機会を狙っていたのではないか。

フォスマー大尉とオッグは日本の連合艦隊が刻々とハワイへ向かっていることを傍受していた。その解析結果を上官である第12海軍管区の責任者リチャード・マッカラ大佐に報告した。マッカラ大佐はルーズベルト大統領とも親しい関係であることも知っていたので、二人は危険な兆候もホワイトハウスにも届いていたと思っていた。ところがその報告は海軍情報部のどこかのラインで消失し大統領には伝わっていなかった。
1941年12月6日(真珠湾攻撃の数時間前)、オッグは日本の連合艦隊がハワイの北800km付近にいることを掴んだ。興奮したオッグはフォスマー大尉の家に駆け込んで伝えた。「これは絶対なにかが起こるぞ!」
真珠湾奇襲で米側は戦艦8隻、航空機300機の損害を出したが、空母は湾内にいなかったので無事だった。

直後に日本海軍の暗号JN-25は真珠湾攻撃時は解読不能だった、という欺瞞隠蔽工作を米海軍は行った。日本を欺くために。

日本海軍の動向監視を任務とする太平洋無線傍受局HYPOは真珠湾に拠点を置いていた。そしてJN-25を解読できたため日本軍の作戦は筒抜けとなった。米海運はポートモレスビー、ニューギニア、珊瑚海での日本軍の動向を事前察知していた。

山本五十六連合艦隊司令長官は米・太平洋艦隊空母群のせん滅を目的とするMI作戦を計画し、極秘裏に着々と進めた。
HYPOも日本海軍のただならぬ動きを察知していたが、日本海軍の無線防護が固く「AF」が何を意味するのか掴みあぐねていた。

(ヒストリーCH「アメリカ海軍情報部」)

 

 

 

 

 

  • 再び映画「ミッドウェー」へ

このHYPOを指揮していたのが上記のジョセフ・ロシュフォード中佐である。

(ヒストリーCH「アメリカ海軍情報部」)

 

 

 

 

映画では俳優ハル・ホルブルックが演じていた。特徴のある顔立ちで映画ダーティー・ハリーや大統領の陰謀での演技が印象に残っている。映画ミッドウェーに出演していた大スターの多くがもう鬼籍(死者の戸籍)に入ってしまっている。ただこの名バイプレーヤーだけは長寿を全うし、2021年1月23日、95歳の生涯を終えた。そして主役的な役の航空参謀長ガース大佐を演じていたのがチャールトン・ヘストン。このガース大佐がHIPOを訪れてロシュフォード中佐と面会する場面で、その前を横切るのが寡黙な「タクシードライバー」ロバート・デ・ニーロだ。

 

 

 

 

日本軍の電文に出てくる攻撃目標を意味する「AF」が何を指すのか?ロシュフォード中佐はミッドウェーであると確信していたが、キング米艦隊司令長官は、日本軍は米西海岸を攻撃目標にしていると思い込んでいて取り合わない。そこでロシュフォード中佐がミッドウェーの駐留部隊から「真水が不足している」という偽電文を打電するよう要請した。するとこの罠が見事に的中、オーストラリアの無線傍受群が日本軍の暗号を傍受、「AFの真水が不足」と解読し、「AF」がミッドウェーであることを探り当てたのだ。この快挙に沸き立ち乾杯するスタッフの中にもロバート・デ・ニーロがいた。

 

 

 

 

他にもニミッツ太平洋艦隊司令長官を演ずるヘンリー・フォンダとロバート・ワグナー演じるブレイク少佐が作戦本部で図上盤を前に作戦を話し合っている後ろを、資料もって行き来するロバート・デ・ニーロがいた。

 

 

 

 

 

セリフは一切なし。しかし明らかにワンカット・エキストラでもない。エンド・クレジットにもロバート・デニーロの名前はなかった(筆者の見逃しでなければ)。

何が謎なのか?
映画「ミッドウェー」は1976年6月米公開。デ・ニーロは前年1975年2月に映画「ゴッドファーザーPARTⅡ」で若き日のドン・ヴィトー・コルレオーネを演じてアカデミー賞助演男優賞を受賞しているのだ。しかも映画「タクシードライバー」は1976年2月米公開で、第29回カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞を受賞している。既に目立つ存在であったであろうデ・ニーロがなぜセリフもクレジットもないのか?

考えられる仮説として、「ミッドウェー」の撮影がデ・ニーロのアカデミー賞助演男優賞の受賞前に撮影されていて、無名の俳優だが何か光るものがあるということで、セリフなしだがバックシーンに入れてみようと監督らが試したのかも知れない。オーディションで演技力を認められたが、「ミッドウェー」では大スターばかりなので、さすがにセリフは与えられないが、海軍情報部の1スタッフ役で出演させたとなったのか。
「ロバート、君は資料を持ってフォンダさんの後ろで行ったり来たりして情報部が活動している雰囲気を出してくれ。そう!いいね、そんな感じだ」といった風景があったのかも知れない。

  • 雑談コーナー

映画「ミッドウェー」の背景にあった史実や戦史を知って見直すとより面白さが増す。ダンディーで二枚目のヘンリー・フォンダが演じたニミッツ大将、愛嬌のあるたれ目のロバート・ミッチャムが演じたハルゼー中将、そして渋いおじさんのグレン・フォード演じるスプルーアンス少将。

筆者の目にはこの三人は政治的野心がなく誠実に軍務を遂行する人物に映る。特にハルゼーは勇猛果敢なブルの愛称があるが、率直な人柄のようだ。真珠湾攻撃を阻止できずスケープゴートにされた同期のキンメル大将を擁護したり、有能なスプルーアンスの能力を見抜いたり公平実直な感じがする。反面、キング提督は軍事的判断力に疑問符が付くし、言動からも政治的野心が旺盛で策謀家のイメージがプンプン臭う。嫌なタイプだ。筆者はスプル-アンスが好みだ。なぜかというと名前が変わっていて語感がいい。彼の伝記を読んだことがあるが手堅く卒なく物事を片付けていく軍人らしさが気に入った。だからといって冷たい能吏的な人物ではない。苦労人であり味のある人情家だ。例えれば誰か?うーん、そう、ムダ口を叩かず前へ前へと進むNCISのギブスだ。

映画「ビューティフル・マインド」を観て気づいたこと

映画「ビューティフル・マインド」は日本公開2002年。監督はロン・ハワード。この作品でアカデミー賞の監督賞と作品賞を受賞した。「アポロ13」や「ダ・ヴィンチ・コード」など硬派の作品作りに定評があるようだ。主演はラッセル・クロウ。彼もこの作品でゴールデン・グローブ賞の主演男優賞を受賞している。
映画の内容は、ノーベル経済学賞を受賞した天才数学者ジョン・ナッシュ博士の統合失調症との闘病生活の半生を描いた、サスペンス仕立ての見ごたえのあるものになっている。

数学者物語は、数奇な人生、驚異の逸話、数多の天才の宝庫だ

数学は苦手だが数学者の伝記は非常に面白い。この映画を観るまではナッシュ博士のことは知らなかった。冷戦時代にゲーム理論を知り、こんなことまで数学でできるのかと感心したことを覚えているが、ナッシュ博士の功績であることも知らなかった。2002年設立の優れた数学者に授与されるアーベル賞やこの賞を去年(2015年5月)ナッシュ博士が受賞したこと、そして残念なことにアーベル賞受賞後の4日後、岐路の途中で交通事故に遭い同乗していた夫人とともに亡くなられたことも最近まで知らなかった。受賞後であったことがせめてもの救いかも知れない。ご冥福をお祈りします。

数学のノーベル賞はフィールズ賞(1936年設立。4年に一度、40歳以下の若手数学者が受賞対象)だと長年思い込んでいた。アーベル賞は賞金1億円、年1回贈賞で年齢制限なしという条件はノーベル賞と条件は似ている。そういう意味では「数学のノーベル賞」というべきか。数学はあらゆる科学(自然、人文、社会、応用など)の土台をなすもの。神が作った自然設計図かも知れない。その土台を発展深化させた天才数学者を称える賞はもっとあってもいいと思う。

伝記で思い出すのは、ノルウェーのアーベルとフランスのガロア。2人は若くして亡くなった天才数学者だ。二人の業績の1つ、群論は今日の量子力学の基礎をなすものだ。またガロアは情熱的な政治活動家として、さらに性悪な女性に絡んだ決闘で20歳で夭折したことで有名である。
(「ガロアの生涯 神々の愛でし人」L.インフェルト著、市井三郎訳。第1版は1950年、本著は1969年の第2版)。

昔、学生の頃に第1版を読んで衝撃を受けた本だ。馬鹿げた理由で明日決闘で死ぬことを覚悟したガロアの絶望的な遺書が綴られている。「私には時間がない」、「なぜこのようなつまらないことで私は死ななければならないのか」、「私を殺害する者たちに寛恕あれ(大いなる許しを)」など、ガロアの悲痛な無念さが伝わってくる文章である。本著の原作者レオポルト・インフェルト(1898生)博士はポーランドの物理学者。ユダヤ人迫害を受けて後にアメリカに渡り、プリンストン高等研究所で10年にわたりアインシュタインと統一場理論について共同研究を行った。迫害を受けた数学者の視点で描いた悲劇的な数学者の伝記の上梓、ガロアの愛国的な政治姿勢が影響したのか母国ポーランドに戻り鉄のカーテンに抵抗した晩年(1968没)の行動は興味深い。インフェルト博士は、核兵器廃絶を訴えた有名なラッセル=アインシュタイン宣言の署名者の一人でもある。その足跡から気骨のあった数学者であることが窺える。

ガウス幼少時の天才ぶり、ニュートンとライプニッツの論争、数論や幾何学などの数学分野を統一しようとするラングランズ・プログラムを提唱したラングランズ、谷山予想(=志村・谷山ヴェイユ予想)で有名な谷山豊と婚約者との悲恋、100万ドルの懸賞金のついた難問の1つ、ポアンカレ予想を解決したのに賞金を辞退したロシアの数学者ペレルマンなど、
(「完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者」マーシャ・ガッセン著、青木薫訳)

腕の良いハリウッドの映画監督がうまく料理してくれたら素晴らしい映画が沢山できるのだがと密かに期待しているのだが。

コンピュータの基礎概念を作った1人である天才数学者チューリングがドイツ軍が誇る最強の暗号機エニグマとの解読戦とチューリングの悲劇を描いた、ベネディクト・カンバーバッチ主演の映画「イミテーション・ゲーム」、若き数学者が数学を駆使してFBIの兄の事件を捜査支援する異色の海外TVドラマ「ナンバーズ/天才数学者の事件ファイル」など、ハリウッドの映画化の実績は十分だろう。

日本映画では「好人好日」、「博士の愛した数式」があるが、ハリウッド・テイストとは別のテイスト。抽象的な数学を扱うのだから、十分に進化したCG技術や映像手法を駆使して日本らしい別角度の数学者物語を映画化してくれないかな。

向精神薬の依存から解放される方法は、「間欠断薬」より「緩やかな減薬」がいい

映画「ビューティフル・マインド」の中盤。ナッシュ博士が薬物療法を続けて1年が過ぎ幻覚を見ることもなくなった頃。その代償として、天才的な優れた精神活動は薬物によりブレーキがかけられ靄がかかったような状態となった。生活意欲も弱くなり夫婦生活もうまくいかなくなった。平穏な毎日だが果たして自分の才能を押し殺し夫婦生活をも犠牲にしてまで続ける意味があるのか。膨らむ疑問を押さえ込むことができなくなったナッシュ博士は妻のアリシア(ジェニファー・コネリー)が時間どおりに差し出す薬を服用しなくなった。アリシアに見つからない様に机の引き出しのブリキ箱へ薬を飲まず隠し入れ始めた。映画ではピンク色の錠剤10錠(5回分)がブリキ箱に溜まり始めた頃、再びあの幻想がナッシュ博士に訪れ始めるのだった。

向精神薬の服用を急に止めるのは危険だ。降圧剤のようなものと違い精神に作用する薬の服用の中止は十分慎重にすべきだ。
私はある知人の話を思い出した。
その知人は16年ほど前にある外科手術を受けた。手術後しばらくしてめまいと不眠に襲われた。担当医師から「デパス」を処方されめまいと不眠は改善した。退院後も知人は症状改善のため医師の説明に従いデパス服用を続けた。
知人の説明によると、不安や不安定な精神状態で「ゆらゆら」している時にデパスを服用するとガシンと万力で圧し止めたように「ゆれ」が止まり安定するそうだ。つまり良く効くのだ。だがしばらくするとまた「ゆれ」がはじまりデパスが必要となる。しかし服用間隔があるので守らないといけない。次の服用までその「ゆらゆら」を我慢しなければならない。こうして知人はデパスに依存するようになった。なんとか依存から抜け出すために1日2回服用を1回にしたり、1日置きの服用に変えたりなどの「間欠断薬」を試すがうまくいかない。「ゆれ」が逆にひどくなったそうだ。町の精神内科を変えたりしてもうまくいかない。そういう状態が4-5年続いた。
そこで知人はNETで調査して、自宅から3-4時間かかる精神科・心療内科専門の病院をみつけ、専門の病院で診てもらうことにした。その専門の病院の先生は町の精神内科の医師と違い、じっくりとこれまでの経緯や症状についての知人の説明に耳を傾け、いくつかのテスト(不安や不安定の原因を探るテスト)を受けた。その結果、薬を替えましょうということになった。依存していた薬を替えるのは非常に不安があったそうだが、替えた途端、まったく別のゆったりとした落ち着きのある症状に変わったそうだ。知人は捜し求めていたものにようやくたどり着いた安心感を覚えたという。月に一度通院するようになり症状は改善に向かっていった。そして1年ぐらいたって症状も良くなってきた。遠路通院するのはもう必要ないので自宅近くの医師・薬局で薬がもらえるよう処方箋を書きましょう、ということになった。その時点では知人は就寝前に「ロヒプノール」を服用するまでになっていた。
知人は自宅近くのかかりつけの内科医師に事情を説明し処方箋をみせロヒプノールをもらうようになった。ロヒプノールは依存性は強くないが急な服用中止は危険なので、知人は「緩やかな減薬」をすることにした。
それは、1mgを少し(1/5ほどを)ハサミでカットし4カ月ほど続ける。副作用や悪い症状が出るようだったらカットを止め元の服用に戻す。うまくいったので今度は1日1mgの1/4をカットし4カ月ほど続ける。更に4カ月後に1/2をカット、つまり0.5mgの服用にした。そうやって1日1/4mg(0.25mg)服用になったそうだ。
そしてその後は、1日置きに服用する「間欠断薬」に切替え、更に2日置き、3日置き・・と時間をかけて「離薬」を図った。いまでは今夜は1/4錠を服用したほうがいいかなと判断した時にだけ服用するようになったそうだ。
ここまで16年かかったのだ。近年では1回の処方で14日分、1mgを14錠をもらうが2-3年かけて消費するようになったという。完全な離薬状態ではないが別に気にしないそうだ。1回の処方14錠の消費が4-5年、更に6年・・・10年となればいいという。

知人は言う。「向精神薬は首より下の薬と違い、十分な注意と専門医の指示に従うことが必要だ」

ジェニファー様のお顔に止まり散策後、無礼な振る舞いの謝罪もせずスクリーン上から逃げ去ったハエがいた

ナッシュ博士の妻アリシア役にはハリウッドでも指折りのクラシック・ビューティ、ジェニファー・コネリーが名演し、彼女はこの映画でアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞その他の助演女優賞などを総なめにした。
30年ほど前に出演した映画「フェノミナ」を観たとき、なぜこんなゲロゲロ映画(悪い映画という意味ではない。映画は面白かった)にこれだけの美少女が出るのかとビックリしたことを覚えている。
そんな美貌、度胸、知性、名演技力などを兼ね備えたハリウッド・ミューズの1人が熱演中に不埒なハエが乱入し映像を汚したのだ。

事件現場は映画の中盤、ナッシュ博士が薬物療法など治療を受けてから1年後。ベビー・カーを押すアリシア(ジェニファー・コネリー)と友人のソル(アダム・ゴールドバーグ)がプリンストン大の庭を散策している時だ。ナッシュ博士の症状が落ち着き始めたことなど近況を知らせに立ち寄った様子。ソルがアリシアのことも心配して君は大丈夫なのかと聞いた。彼女は心配事や揺れ動く心情をソルに打ち明ける。そして心の拠り所を結婚当時の思い出に頼るようにしていると。「結婚当時の彼を思い出すの。すると彼はやがて、私が愛していた昔の彼になる」。最もロマンチックなセリフを語り熱演しているところへ、この無礼者のハエが乱入したのだ!

①ジェニファー様の胸から首へと飛び上がり、あろうことか②聡明で知的な右額に止まり土足のまま歩き回り、③悪びれずにスクリーン左へと飛び去ったのだ。

彼女はこの不埒な行為を意にも介さなかった。手で振り払うこともせず瞬きもしなかった。完全無視で対抗したのだ。

しかしラッシュ試写やラッシュ・チェックでなぜ編集されなかったのか。
1.ジェニファーがこれ以上の演技はできないのでこのままを使ってと主張した?
2.監督、スタッフも無礼者のハエに気付かなかった?
3.実は出演予定のハエで予定通りの演技だった?
4.有力なハリウッド関係者の飼っているハエのため、ジェニファーも監督も文句が言えなかった?

あなたはこの謎をどう判断しますか?