「誤変換誤入力ことわざ等辞典」  八木メッシ・著

  • 「アシモと尾を見る」

推測だがアシモとアイボがイベントに出されて、人間が気に入る動作をしていたのであろう。アシモがふとアイボの尻尾を見るとなにかがついている。動作を止めて見続けるアシモ。それに気づいたアイボが、ロボト犬にしかできない奇怪な海老ぞりで自分の「尾を見た」。その時のさまを表現したのであろう。知らんけど。

  • 「雨に歩けば犬も歩く」

「犬も歩けば猫も歩く」にヒントを得て、名優カイ(白戸次郎で有名なお父さん犬)、俳優ジーン・ケリー、そして歌手ジョニー・レイが共同製作した「雨に唄えば」の続編ミュージカル映画のタイトル兼曲名。原曲名「Just Walkin‘ In The Rain、Dog’s also Walkin」に対しあまりにも日本語の訳がダサイ、このままでいいのかという論争に発展し、日本では公開されずお蔵入りになった。

  • 「いちご一円」

安い!とにかく安い!ただし味は保証の限りでない。
(2009/03/15、NTTうららのサルのキャラクターがこの言葉を使用したが、拙者は2008/09に作成。要するに誰もが思いつくものだ)

  • 「酷民粘菌」

人為的操作によって生み出された粘菌の一種。社会保険庁が開発し日本国民の間に散布した遅効性の生物兵器。潜伏期間は最低25年で、発症すると年金がもらえない、或いは少なくなるなどの症状が出て生活が苦しくなる。役人はり患しない。発症を防ぐには毎月ワクチン代を払う必要があるが、払っていても発症する場合があり、その場合は発症した本人がワクチン代を払っていたという証明が必要になる。徴収機関の変更、対象の拡大、保険料の引き上げ、給付の減額、支給年齢の引き上げなど悪質な隠蔽変異を繰り返しており、パンデミック寸前である。一時期、ヨトウ製(一説には「夜盗」とも書く)の「百年安心」ワクチンが開発され強制接種があったが、直ぐに効能がないことが判明。

  • 「こうせい粘菌」

人為的操作によって生み出された粘菌の一種。社会保険庁が開発し日本国民の間に散布した遅効性の生物兵器。潜伏期間、症状、隠蔽変異などは酷民粘菌とほぼ同じだが、主に中小企業の雇用主がり患すると、平均報酬月額の減額、納付期間の圧縮などの改ざんをしなさいと、役人がそばで「あーせい」、「こうせい」と言うとついその気になってしまう症状も出る。

  • 「ザルも木から落ちる」

食事に使ったザルを木に干していたら、風で落ちてしまったという程度のことで、たいした意味はない。
そんなところ(木)に干すのが悪いといった戒めだろう。
ちなみに、信長に仕えていたサル(秀吉)が、将来妻となる、おねの自宅の庭先で木に登り家の中を除いていたところを、通りがかった信長に注意されて木から落ち、信長からこれからは「木下」と名乗れと命名されたというのは有名な話(太閤素性異聞記より)

  • 「シチュウーにして惑わず」

肉シチュウーにするか、オムライスにするか、有り金が少ないのにあれこれ迷うのは時間のムダ。シチュウーを注文すると決めたら心が落ち着いたという故事から来ている。
ちなみに「四十にして惑わず」=四十才を過ぎたらあれこれ惑うことはなくなる、というのは嘘。家のローンや教育費に悩む庶民、消費者を無視していかに利益を増やすか腐心する企業経営者、不祥事ばかり起こし責任回避に汲々とする官僚、保身と利権を漁りまわる政治家、どこを見てもこのことわざは死語である。よって当辞典監修委員会はこのことわざを永久死語に指定した。

  • 「自身神也鍛冶大家痔(ジシンカミナリカジオヤジ)」

直訳すると、「私自身は神様だが、鍛冶屋の大家さんは痔になりました」という意味の漢語。
私は浮気者の最高神ゼウスだが、嫉妬深い妻ヘラにまた浮気がばれたため、息子で鍛冶屋のヘパイストスの貸家に間借りして隠れていたのだが、母親ヘラから父親(ゼウス)の行き先を知っているかの執拗な問い合わせがストレスとなり、痔になってしまったというギリシャ神話外伝から伝わったことわざ。なぜ中国語風になったかは知らない。

  • 「雀百までオードリー忘れず」

たまたま窓にとまった雀が、家の中のTVに映ったオードリーのお笑いコントを見て、大笑いをしてしまった。その雀が百歳まで生きたので、笑いは健康長寿に良いということわざ。しかし百歳まで生きた雀は科学的でないし、オードリーのコントが雀にうけたという設定には無理があるという反論がある。
しかし古代宇宙人説を唱えるデニケンは、日本には昔から他にも「雀のお宿はどこだ」という歌詞の童謡があるので、日本には雀型の宇宙人が存在していた可能性があるとも解説している。オーパーツ的かつアウターリミッツ的ことわざではある。

  • 「月は東に尾は西に」

聞いたことが有るような無いような。懐かしいメロディが頭に浮かびそうだがハッキリしない。東に上る満月を見て犬神明が狼に変身し、その尾が西に向いていた様を表現しているのだろうか。

  • 「猫に交番」

犬のおまわりさんがいるのだから猫にも交番勤務を与えよと沸き起こった猫の公民権運動の時のスローガン。これにより動物格差是正法が制定された。猫運動の中心リーダーは「化け猫」と異名をとったナベシマ・ハーン。後に運動に共鳴したラフカディオ・ハーンの飼い猫になった。

 

「無用の九九」 八木メッシ・著

注:当九九は覚えても何の役にもたちません。覚えなくてもあなたが不幸になることはありません。
()内は読み。

  • 一×九(イチク) 米英
  • 二×三(ニイサン)よってらっしゃいな
  • 二×五(ニゴ)  と本妻
  • 二×九(ニク)  食べたい
  • 三×三(サザン) がオールスターズ
  • 三×四(サンシ) いらしゃーい
  • 三×五(サンゴ) の肥立ち
  • 四×四(シシ)  文六
  • 四×五(シゴ)  二日
  • 四×八(シワ)  だらけ
  • 五×五(ゴゴ)  は昼寝
  • 六×八(ロック) ハドソン
  • 八×八(ハッパ) ふみふみ
  • 九×九(クク)  クック青い鳥

「おかわり」   八木メッシ・著

友人の佐藤の家でダベっていた時、俺はふと佐藤に訊いた。
「ところで、お前とこのあの犬」と言って、部屋の隅でプラ容器をカタカタいわせながらエサを食べている白い犬を指差した。
「なにかおもしろい芸ができるのか」

寝転んだままの佐藤が片耳をほじりながら、「ああ、おかわりができる」と投げやりに答えた。

「なんだ。そんなの、うちのチロでもするぞ」と俺は不満気にいった。
チロは我が家の雑種の白犬だ。佐藤の犬と似ている。「おて」、「おかわり」と俺が命令すると、「おすわり」の姿勢で首をおもいきり丸めて、嬉しそうに尻尾を振りながら、右前足、左前足を交互に俺の手のひらに差し出すのだ。

寝ていた佐藤がのそりと起き上がり、あぐらをかきながら本を手にとって言った。
「まあ、見てろ。もうすぐやるよ」とアゴで部屋の隅の犬を指し示した。

エサを食べ終わり、空になったプラ容器の底を舐めていたのだが、舐めるものもなくなったのか、犬は数秒じっと座ったままの姿勢を続けた。
すると肩越しにこちらをチラっと頭を振り向けた。佐藤の方を見ている。佐藤はエロ本をパラパラめくっていて知らん顔だ。
犬は頭を元に戻し、また数秒じっと座ったままの姿勢を続けた。
そしてプラ容器を口にくわえると、ゆっくりと佐藤の座っている手前数十cmのところまで来て「おすわり」をした。そして、くわえていたプラ容器を自身の前足のところに降ろした。おそるおそるというより、俺には遠慮がちで申し訳なさそうに見えた。

もう一度佐藤の顔を上目づかいに見て、犬は、空のプラ容器をそうっと佐藤の方へ前足で押し出した。