「誤変換誤入力ことわざ等辞典」  八木メッシ・著

  • 「アシモと尾を見る」

推測だがアシモとアイボがイベントに出されて、人間が気に入る動作をしていたのであろう。アシモがふとアイボの尻尾を見るとなにかがついている。動作を止めて見続けるアシモ。それに気づいたアイボが、ロボト犬にしかできない奇怪な海老ぞりで自分の「尾を見た」。その時のさまを表現したのであろう。知らんけど。

  • 「雨に歩けば犬も歩く」

「犬も歩けば猫も歩く」にヒントを得て、名優カイ(白戸次郎で有名なお父さん犬)、俳優ジーン・ケリー、そして歌手ジョニー・レイが共同製作した「雨に唄えば」の続編ミュージカル映画のタイトル兼曲名。原曲名「Just Walkin‘ In The Rain、Dog’s also Walkin」に対しあまりにも日本語の訳がダサイ、このままでいいのかという論争に発展し、日本では公開されずお蔵入りになった。

  • 「いちご一円」

安い!とにかく安い!ただし味は保証の限りでない。
(2009/03/15、NTTうららのサルのキャラクターがこの言葉を使用したが、拙者は2008/09に作成。要するに誰もが思いつくものだ)

  • 「酷民粘菌」

人為的操作によって生み出された粘菌の一種。社会保険庁が開発し日本国民の間に散布した遅効性の生物兵器。潜伏期間は最低25年で、発症すると年金がもらえない、或いは少なくなるなどの症状が出て生活が苦しくなる。役人はり患しない。発症を防ぐには毎月ワクチン代を払う必要があるが、払っていても発症する場合があり、その場合は発症した本人がワクチン代を払っていたという証明が必要になる。徴収機関の変更、対象の拡大、保険料の引き上げ、給付の減額、支給年齢の引き上げなど悪質な隠蔽変異を繰り返しており、パンデミック寸前である。一時期、ヨトウ製(一説には「夜盗」とも書く)の「百年安心」ワクチンが開発され強制接種があったが、直ぐに効能がないことが判明。

  • 「こうせい粘菌」

人為的操作によって生み出された粘菌の一種。社会保険庁が開発し日本国民の間に散布した遅効性の生物兵器。潜伏期間、症状、隠蔽変異などは酷民粘菌とほぼ同じだが、主に中小企業の雇用主がり患すると、平均報酬月額の減額、納付期間の圧縮などの改ざんをしなさいと、役人がそばで「あーせい」、「こうせい」と言うとついその気になってしまう症状も出る。

  • 「ザルも木から落ちる」

食事に使ったザルを木に干していたら、風で落ちてしまったという程度のことで、たいした意味はない。
そんなところ(木)に干すのが悪いといった戒めだろう。
ちなみに、信長に仕えていたサル(秀吉)が、将来妻となる、おねの自宅の庭先で木に登り家の中を除いていたところを、通りがかった信長に注意されて木から落ち、信長からこれからは「木下」と名乗れと命名されたというのは有名な話(太閤素性異聞記より)

  • 「シチュウーにして惑わず」

肉シチュウーにするか、オムライスにするか、有り金が少ないのにあれこれ迷うのは時間のムダ。シチュウーを注文すると決めたら心が落ち着いたという故事から来ている。
ちなみに「四十にして惑わず」=四十才を過ぎたらあれこれ惑うことはなくなる、というのは嘘。家のローンや教育費に悩む庶民、消費者を無視していかに利益を増やすか腐心する企業経営者、不祥事ばかり起こし責任回避に汲々とする官僚、保身と利権を漁りまわる政治家、どこを見てもこのことわざは死語である。よって当辞典監修委員会はこのことわざを永久死語に指定した。

  • 「自身神也鍛冶大家痔(ジシンカミナリカジオヤジ)」

直訳すると、「私自身は神様だが、鍛冶屋の大家さんは痔になりました」という意味の漢語。
私は浮気者の最高神ゼウスだが、嫉妬深い妻ヘラにまた浮気がばれたため、息子で鍛冶屋のヘパイストスの貸家に間借りして隠れていたのだが、母親ヘラから父親(ゼウス)の行き先を知っているかの執拗な問い合わせがストレスとなり、痔になってしまったというギリシャ神話外伝から伝わったことわざ。なぜ中国語風になったかは知らない。

  • 「雀百までオードリー忘れず」

たまたま窓にとまった雀が、家の中のTVに映ったオードリーのお笑いコントを見て、大笑いをしてしまった。その雀が百歳まで生きたので、笑いは健康長寿に良いということわざ。しかし百歳まで生きた雀は科学的でないし、オードリーのコントが雀にうけたという設定には無理があるという反論がある。
しかし古代宇宙人説を唱えるデニケンは、日本には昔から他にも「雀のお宿はどこだ」という歌詞の童謡があるので、日本には雀型の宇宙人が存在していた可能性があるとも解説している。オーパーツ的かつアウターリミッツ的ことわざではある。

  • 「月は東に尾は西に」

聞いたことが有るような無いような。懐かしいメロディが頭に浮かびそうだがハッキリしない。東に上る満月を見て犬神明が狼に変身し、その尾が西に向いていた様を表現しているのだろうか。

  • 「猫に交番」

犬のおまわりさんがいるのだから猫にも交番勤務を与えよと沸き起こった猫の公民権運動の時のスローガン。これにより動物格差是正法が制定された。猫運動の中心リーダーは「化け猫」と異名をとったナベシマ・ハーン。後に運動に共鳴したラフカディオ・ハーンの飼い猫になった。

 

「無用の九九」 八木メッシ・著

注:当九九は覚えても何の役にもたちません。覚えなくてもあなたが不幸になることはありません。
()内は読み。

  • 一×九(イチク) 米英
  • 二×三(ニイサン)よってらっしゃいな
  • 二×五(ニゴ)  と本妻
  • 二×九(ニク)  食べたい
  • 三×三(サザン) がオールスターズ
  • 三×四(サンシ) いらしゃーい
  • 三×五(サンゴ) の肥立ち
  • 四×四(シシ)  文六
  • 四×五(シゴ)  二日
  • 四×八(シワ)  だらけ
  • 五×五(ゴゴ)  は昼寝
  • 六×八(ロック) ハドソン
  • 八×八(ハッパ) ふみふみ
  • 九×九(クク)  クック青い鳥

「おかわり」   八木メッシ・著

友人の佐藤の家でダベっていた時、俺はふと佐藤に訊いた。
「ところで、お前とこのあの犬」と言って、部屋の隅でプラ容器をカタカタいわせながらエサを食べている白い犬を指差した。
「なにかおもしろい芸ができるのか」

寝転んだままの佐藤が片耳をほじりながら、「ああ、おかわりができる」と投げやりに答えた。

「なんだ。そんなの、うちのチロでもするぞ」と俺は不満気にいった。
チロは我が家の雑種の白犬だ。佐藤の犬と似ている。「おて」、「おかわり」と俺が命令すると、「おすわり」の姿勢で首をおもいきり丸めて、嬉しそうに尻尾を振りながら、右前足、左前足を交互に俺の手のひらに差し出すのだ。

寝ていた佐藤がのそりと起き上がり、あぐらをかきながら本を手にとって言った。
「まあ、見てろ。もうすぐやるよ」とアゴで部屋の隅の犬を指し示した。

エサを食べ終わり、空になったプラ容器の底を舐めていたのだが、舐めるものもなくなったのか、犬は数秒じっと座ったままの姿勢を続けた。
すると肩越しにこちらをチラっと頭を振り向けた。佐藤の方を見ている。佐藤はエロ本をパラパラめくっていて知らん顔だ。
犬は頭を元に戻し、また数秒じっと座ったままの姿勢を続けた。
そしてプラ容器を口にくわえると、ゆっくりと佐藤の座っている手前数十cmのところまで来て「おすわり」をした。そして、くわえていたプラ容器を自身の前足のところに降ろした。おそるおそるというより、俺には遠慮がちで申し訳なさそうに見えた。

もう一度佐藤の顔を上目づかいに見て、犬は、空のプラ容器をそうっと佐藤の方へ前足で押し出した。

 

 

 

 

 

 

 

    京都でいい宿、発見。マグニフィセント・ファイブの旅

    2017.10.8公開記事

    • 徹夜麻雀OKでリーズナブル。即決予約

    気のおけない友人5人で初秋(2017年)の京都で1泊することになった。高校3年生の時の同じクラスの仲間同士。社会人になって久しくお互い相当くたびれてきたが、年に数回地元で会って麻雀や宴会を重ねてきた。今回初めて京都で泊りがけでやろうかということになり宿探しをした。

    必須条件はもちろん徹夜麻雀ができる宿。ところがこの条件を満たす宿がなかなか見つからない。夜遅くまではダメとか、出入りの都度料金が要るとか、時間制料金です、とか。潤沢なフトコロ事情であれば金で解決できるがお互いビル・ゲイツほど出世したものは皆無。

    NETで次々と検索し電話した。
    「京町屋聖護院か。電話してみよう」
    「夜遅くまで麻雀がしたいのですが」
    「1棟貸しですので徹夜麻雀も出来ますよ」
    「5人ですが、1人いくらですか?」
    「1棟貸しですので、5人様なら平日チェックインで3万8千円です。食事は付きませんが」

    3万8千円÷5人=7600円か。いいね。当初の宿泊予定日はムリということで、前後の予約可能日と事前に聞いていた友人らの次点希望日がマッチングする宿泊予定日を即決で予約。友人らにメールで連絡し了解したとの受信。あとは旅に出発するだけ。

    • マグニフィセント・ファイブが京都へ降臨。錦市場から昼床へ

    良い日旅立ちの時が来た。大勢で混み合うJR京都駅で友人たちと合流。全員バックパック姿のオッサン軍団が出来上がり。初秋の金曜日、浴衣姿の若い女性がやたら目立つ。すれ違いざま耳に入ってきたのは中国語。中国から京都観光にやってきた女性たちだった。中には可愛らしい花柄の浴衣を着た金髪の女性も見かけた。こちらは英語だ。

    先に昼飯にしようと意見が一致。9月に入ると鴨川沿いの川床でランチ(昼床という。5月もあり)ができるというので四条河原町を目指すことにした。お互い久しぶりのため様変わりした京都は土地勘が働かない。まずズドンと地下鉄で四条まで行くことにした。ランドマークの京都タワーを見上げながら地下へ潜る。

    (JR京都駅北側から京都タワーを望む グーグル・アースから)

     

     

     

    地下鉄「四条」駅で下車、地上に出て四条烏丸から四条通を東進。大丸京都店辺りで「そうだ!錦市場を通ろう!」誰かが言い出した。「大晦日によく出てくるあの市場か。よし行こう」適当なオッサン軍団。

    大丸京都店の1階フロアを突き抜けようとするとフレグランスの甘い香りが漂う。有名化粧品メーカーの店舗がズラリと並ぶコーナー。若くきれいな販売員さんが微笑んでくれる。買うつもりはないので何か得した気分だ。
    「おい、イノダコーヒーがあるぞ。飲んでいくか」1階フロアの東端に店舗を見つけて誰かが呟いた。
    「バカめ。せっかく京都に来たのだ。本店で飲もう。昼飯の後にな。コーヒーは食後に決まっている。それと<イノダコーヒー>じゃなく<イノダコーヒ>だ」ありがとうよ、豊富な知識で教えてくれて。エラそうに。

    京都大丸の北口を出るとそこは東西に走る狭い錦小路通だ。再び東進開始。すぐに錦市場の入口に到達。大きな若冲の垂れ幕が架かっている。若冲の生家らしい。

    (錦市場の入り口。若冲の絵の垂れ幕がお迎え グーグル・アースから)

     

     

     

     

     

    狭い市場の中を通る。TVで見かけたような漬物屋、寿司屋、天ぷら屋、お土産屋、果物屋、うどん屋、等々。大変な賑わいだ。ここでも浴衣姿の外国人男女が行きかう。短パンツ姿の外国人親子も多い。市場で買ったらしいシュリンプ串をかじったり、天ぷら串を食べたり、アイスクリームをベビーカーの子供になめさせたりしている。これほど華やかで明るく繁盛している市場を見るのは何十年ぶりだろう。我が地元の市場は往年の賑わいは既にない。買い物はスーパーがほとんどで、わずかに残っている市場も櫛抜け状態で店もパラパラ、侘しさが漂っている。

    錦市場を出ると錦天満宮にぶつかる。路地裏的な雰囲気がある裏寺町通を通ると行列待ちをしている店がある。ステーキ屋らしい。ほかにも小さな店舗がひしめき合っている。四条河原町に出た。すごい人、人、人。雑踏を泳ぎながらオッサン軍団は果敢に四条大橋を目指し東進する。

    四条大橋の手前、左側に小さな交番と鰻屋を発見。有名な鰻丼の店、「先斗町いずもや」だ。ここから北に向かうと細い道路の両側に店が並んでいる。北に向かい右手が鴨川沿いの昼床店が並ぶ。左手の店は川床がないので料金が若干安めな感じ。昼床店を物色しながら先斗町公園まで行く。「これで終わりか。戻ってどこかに入ろう。腹減った」そうしようということになった。本当は先斗町公園の先にも、「いずもや」の南にも昼床店はあるのだが、適当なオッサンばかりなので、空腹の命令に従うことになった。

    外からお座敷と昼床が見えて着物姿が京都らしい佇まいの仲居さんに頼んでみると、予約がなくてもOKということで「大當両」に入ることにした。

    (ゆば料理店の「大當両」 グーグル・アースから)

     

     

     

     

    入店客は我々マグニフィセント・ファイブと他に2人の男女客だけ。靴、サンダルを脱ぐ。座敷を通り、見晴らしのいい川床に通された。天井はよしずで日除けになっている。南北と東側は解放されていてよしずはない。秋晴れの晴天下、鴨川が南北にゆったりと流れているのが一望できる。目の前の川中にダイサギ1羽がポツンと白いバレリーナのように立っている。その横を鴨5羽が川面を滑るように行き来している。南縁席に座った筆者と「イノダコーヒ」は席選びを間違えた。よしずのない南側から南中に近い太陽が容赦なくじりじりと陽を浴びせてくる。幸いに初秋にしては残暑も厳しくなく涼しい気温で、川面から吹く風もあり何とか我慢ができた。生誕初の川床デビューである。
    贅沢のできないファイブたち、お手頃な「ゆば膳」とビール3本で川床料理を堪能。特にわさび醤油につけて食べる「ゆば造り」は素晴らしい。

    • イノダコーヒから御池大橋へ

    昼食を終え「イノダコーヒ」本店に向かう。大當両を出て北に上がり先斗町公園を抜けていくと三条通に出る。今度は三条通を西に進む。三条河原町の交差点を渡り、賑わう繁華街を進む。かに道楽の大きな看板カニに出会う。「昼食もう終わったの。カニんな」くだらんオヤジ・ギャグかまして一人で受け笑いしているのがいる。恥ずかしい。
    歩道と車道の区別のないそれほど広くはない道路になる。それでも人や車が頻繁に行きかう。
    イノダコーヒ三条支店に到着。オッサンたちの目標は本店だ。すぐに左折すると本店に到着。

    (イノダコーヒ本店 すぐ近くの三条店のモダンな造りと対照的 グーグル・アースから)

     

     

     

     

    外観は京町屋風だが中は改装されていてオシャレな造り。黄色と赤紫色をベースにした落ち着いた店内。店内の奥は2階の天井まで吹き抜けになっている。細長い裏庭があり店内と大きなガラスで仕切られていて開放的な展望になっている。裏庭の隅にガラス張りの喫煙室がある。
    全員、噂の「アラビアの真珠」を注文。コクのあるコーヒを味わう。
    「ちょっと吸ってくる」裏庭に通じるドアを抜け喫煙室に入っていく。通称<スモーカー>。
    「あいつ、さっき吸ったばかりだろう」
    「重症だな」

    <コーヒ>を飲み終えて足の疲れもとれたので宿に向かうことにした。まだ14時にもなっていない。チェックインの15時30分には早すぎるが、ここから宿まで結構な距離だしブラブラ歩きながら、徹夜麻雀用のアルコールやつまみを買い込んで寄り道をすれば適当な時間になるだろう。そういうことで出発した。

    また三条通を東へ戻ることになった。かに道楽のところで「同じ道は面白くない。こっちへ行こう」<スモーカー>が言い、「いいんじゃないの」ということで全員が左折し寺町通のアーケードを北進。あっち行ったりこっち行ったり、まるで意思を持たないブラウン運動のオッサン分子だ。広い御池通に出る手前で「おい、本能寺があるぞ」「本当だ」少し立ち止まる。
    「ここは実際にあった場所ではないそうだぞ」と<コーヒ>がウンチクを披露。
    「へえー、じゃどこに?」
    「知らん」

    後で調べたら、元の本能寺はここから西南西、直線距離で約1.3kmの辺り。二条城の南南東の蛸薬師通と小川通と油小路通に囲まれた辺り。現在は特別養護老人ホームが建っている。
    最近、明智光秀の手紙が発見されたことで本能寺の変に新たな解釈が加わった。これまでは信長からのパワハラに対する怨恨説、信長に代わって天下取りに踏み出した野望説が主力だった。今回の発見で足利義昭と謀った室町幕府再興説が浮上。歴史は奥深い。

    さて歴史に疎いオッサンたちは話題を深堀するでもなく本能寺を離れ、広い御池通に出て右折する。陽ざしを避けるため御池通の南側を再び東進開始。京都市役所、京都ホテルオークラを左側にみながら歩く。右側には京都ロイヤルホテルがあり、大きなホテルがやたら目につく。ほかにもホテルがあり京都のオフィス中心街かな?。

    御池大橋を渡る手前で立て札を発見。「おい、夏目漱石の句碑と書いてあるぞ」。その横に小岩があり漱石の句が彫ってある。

    (ぽつねんと立つ夏目漱石の句碑札と石碑 グーグル・アースから)

     

     

     

     

     

     

    感慨深げに句碑を眺めるマグニフィセント・ファイブ。
    「漱石かあ」
    「猫だな」
    わが肺はニコチンだらけである」
    「お前、禁煙しろよ。吸い過ぎだぞ」

    おバカな5人のオッサンたちはゲラゲラ笑いながら御池大橋を渡る。女高校生たちがバカ笑いしている我々を横目でみてキャッキャッ、クスクスと可愛い嬌声を発しながらすれ違う。

    • 1棟貸し「京町屋聖護院」へ到着

    橋を渡ってすぐ左折しそのまま広い川端通を北上すればよかったのだが、真っ直ぐ真っ直ぐ東進すれば平安神宮か岡崎公園にブチ当たるだろうという<スモーカー>の適当な言葉に従って二条通を東進することになった。
    <スモーカー>が持っている携帯の地図を頼りにしての指示だ。
    全員が歩き疲れて二条東大路のあたりからブツブツ言い始めた。
    「もうこの辺りじゃないのか?」
    「ここはどこだ?」
    目印にしていた平安神宮も京大医学部附属病院も見つからない。「もうちょっと北かな」

    二条東大路を左折して北上する。川端警察署を過ぎると橋が見えた。
    「おい、こんなところに川が流れているぞ」
    「川じゃないだろう。疎水じゃないか」
    そう、この疎水の川端を少し西進すれば関電の夷川発電所があるのだが、歴史のことも京のこともあまり知らない、おまけに元気もないオッサンたちにはただの小川だ。
    橋を通過して左側に京都銀行の支店を発見。「おい、聖護院支店とあるぞ」「やったね。この辺りだろう」
    だが目印の平安神宮も京大医学部附属病院も見当たらない。気の早い<スモーカー>が近くにあった酒屋で焼酎の一升瓶を購入。丸太町東大路を右折して東進。平安神宮と思われる(平安神宮です)長――い塀(築地塀:ついじべい)が続く。
    「この北側の奥にあるはずだ」
    「だけど北に折れる道がないな」
    「お、あの神社(御辰稲荷神社)の横に路地があるぞ」
    見過ごすところだった。オッサン5人の横隊では通れない感じの狭い路地だ。路地を北上すると泉徳寺と須賀神社の辻に出た。
    「この須賀神社の北の辺りのはずだ」
    泉徳寺の横の路地をトコトコ。「おーい、あったぞ!」先頭の<スモーカー>が叫ぶ。15時を過ぎていた。

    (ブラウン運動接近方法でたどり着いた「京町屋聖護院」 グーグル・マップから)

     

     

     

     

     

     

     

    (京町屋の風情がある「京町屋聖護院」本館の玄関 グーグル・アースから)

     

     

     

     

     

    マンションの横の路地の奥に自転車十数台があり、ぶら提灯に「京町家聖護院」と書いてあるのが道路から見えた。路地に入り玄関ブザーを押す。応答なし。引き戸を引いてみると、あれ?戸が開いた。
    「ごめんください」返事がない。「入っていいのかな?」
    「電話してみろよ」チェックインは夕方頃になると予約時に返答したのでまだ来ないと思っているのだろう。
    電話すると「もう到着されたのですか。どうぞ入って休んでいてください。すぐ参りますので」と返事があった。

    疲れた足を引きずってオッサンたちが宿になだれ込む。部屋の探検開始。
    「おお、いいな。広いし。古い造りかと思っていたがきれいだな」
    「いいね。気にいった」
    家の躯体の柱や床の間、縁側の軒、トイレに続く軒廊(こんろう)などから古い町家をうまく現代風にリフォームしたことが窺える。バスや洗面所、台所、1階の広い3室、2階の2室は清潔で明るく感じがいい。
    ドラム式洗濯機、大型冷蔵庫、広いキッチン、大きい浴槽、大型テレビ、各部屋のエアコンと設備も文句なし。
    特にオッサン全員がご機嫌になったのは、広いキッチンに続く3帖ほどの和室。掘りごたつ(もちろん今は布団がけなどなし)になっていて麻雀牌が置いてある。昔はたぶん土間だったキッチンの床をフローリングにして、この3畳間との動線を良くしたのだろう。
    一人<スモーカー>が縁側に座りタバコを吸っている。室内は禁煙のためだ。

    そうこうしているうちに聖護院のご主人がやって来た。
    「すいません。予定を繰り上げて早めに来てしまいまして」
    「いえいえ構いませんよ。ごゆっくりしてください」
    感じのいいご主人だ。40代後半ぐらいか。チェックイン払いなので5人分3万8千円を支払う。「後で領収書をお持ちしますが、とりあえず宿のご説明をします」と話し始めた。
    1棟貸し。食事は無し。宿の鍵は玄関にかけている。Wi-Fiも可能、冷蔵庫の清涼飲料水2L×5本はご自由にお飲みください、自炊も可能、近くの飲食店などの地図、等々の説明をしてくれた。「何かありましたら隣の家におりますのでご遠慮なく仰ってください」

    それで遠慮なく聞いてみた。
    「ちなみに何人まで泊まれるのですか?その場合の料金は?」
    平日換算だと3万6千円/4人がベース。1人増すごとに2千円加算。10人ぐらいまでが適当らしい。
    確かに10人ぐらいなら十分なスペースがある。10人で平日なら4万8千円。1人換算4800円。自炊もできて洗濯機もあるので、京都での長期プロジェクト用の宿泊先にはもってこいだ。京都旅行に来る外国人も長期滞在用の宿として最適と喜ぶだろう。ただ広いバスでもさすがに10人はきつい。近くに銭湯があるそうなのでそのへんはなんとかなるだろう。

    • 麻雀後、蕎麦処「河道屋 養老」へ

    東西南北の風牌と「中」の字牌を伏せて置き、「中」牌を掴んだ者が抜けて、早速麻雀開始。「中」掴みはバスを沸かしゆっくり入ってから出て来て、麻雀席の後ろか焼酎をチビチビ飲みながら余計な評論をまき散らす。
    麻雀に興じるオッサンたちもつまみをかじり、焼酎と飲料水を飲みながら、ポン、チー、ツモ、ロンと賑やかに興じる。
    歩き疲れとゆったりバスと焼酎のおかげで「中」掴みは隣の8帖和室でテレビを見ながら寝てしまった。
    半チャンが終わり、二抜けが出ていき和室で寝ている「中」掴みを起こす。そのまま二抜けもフロに行く。
    寝ぼけ眼の「中」掴みが麻雀に参加。それを何回か繰り返しているうちに暗くなってきた。18時チョット過ぎだ。久々に歩き、解放された気分で麻雀を打ったので全員腹がグウグウ言い出した。
    「メシに行こうか」「そうしよう」。宿に鍵をかけて備え付けのサンダルを履いてゾロゾロと食堂探しに出る。

    宿から路地を北進する。十字路(吉田東通)に出ると「宿の地図ではもうちょっと北にいくと学生相手の食堂がいっぱいあったぞ」適当なオッサンが確信をもって言うので左折して皆ついていく。ところが本当は右折して南進するのが正解。なかなか適当な食堂がない。広い西に延びる通り(近衛通)に出たので左折して西進。今度はかなり広い南北を貫く道路(東大路通)に出た。道路の向こう側に京大医学部附属病院の広く大きい建物が見える。宿から大分離れてしまった感じなので、更に左折して道路(東大路通)を下る。ラーメン店などを発見したがすべて満員。とうとう附属病院の南端の十字路に来てしまった。宿を出発店として1辺約300m四方の区画の3辺を歩いてしまった。
    「仕方がない。宿の方へ帰るか。そういえば宿のご主人、おいしいお好み焼き屋があると言っていたな」
    「そこにしよう。もう腹減ったよ」
    須賀神社のある方向に向かって東進。右側路肩「月と猫」というお好み焼き屋の置き看板を発見。
    「ここだ。行こう」と路地の奥へ入る。ところが店に入ると予約いっぱいでダメと断られた。

    辺りは既に暗く街灯や家々に明かりが点いている。「どうする」「あそこに路地がある。入ってみよう」
    聖護院の西側から北に延びている路地。聖護院を東西に挟んで宿と反対側の西側の路地だ。

    右側に聖護院の築地塀が続き、ちょっと行った辺りで由緒ある旧家跡なのか、左側に古びた竹塀が続く。塀の内側上方に植えられた木々が繁茂している。更に犬矢来(ワンちゃん用足しお断り等の細工らしい)がある京町屋があって、また竹塀があった。
    「おい、蕎麦屋みたいだな」「河道屋とある」「どうする?高そうな感じだが入ってみるか?」「そうだな。値段を聞いて高かったらやめよう」聖護院門跡の西門のちょうど路地を挟んだ真向かいにあった。

    (古風な店構えの蕎麦処「河道屋養老」 グーグル・アースから)

     

     

     

    暖簾をくぐり、小づくりの庭園を両脇に奥の店先まで続く石畳みを進む。石畳みは小さなミステリーサークルを感じさせる蕎麦臼模様の断片がはめ込まれている。粋ですね。蕎麦処を入口から「うすうす(臼臼)」感じてくださいという計らいでしょうか?それとも考え過ぎでしょうか?

    店のご主人に値段などを聞く。格式のある店の感じがしたが一見さんお断りではないようだ。そこで蕎麦懐石ではなく手ごろな養老鍋をお願いすることにして、上り框(かまち)で靴、サンダルを脱ぐ。小庭の見える座席に通されて鍋を待つことに。座席の端の床の間のようなところに、1.5m四方の重量感のある相当古い和箪笥があった。黒に近い臙脂色でしかも下段に車輪が付いている。昔の京都のこと、火事や事変で家を放棄せざるを得ない時、この箪笥に大事なものを詰め込んで引いて脱出したのだろうか。古都京都ならではの想像を掻き立てる一品だ。後で聞いた話では有名人もよく訪れる店らしい。

    養老鍋が来て、ビールが来て、焼酎割が来て、ようやく空腹が満腹満足に変わり落ち着いた。
    「ところで聖護院って、何のお寺?」赤い顔をしてくだけた姿勢で<中掴み>が尋ねた。
    「修験道の寺だろう」
    「シュゲンドウ?」
    「山伏(やまぶし)だよ」
    「それは「ひつまぶし」よりウマイのか?」かなり酔っているのか<中掴み>はゲラゲラ笑いだした。聞いていた他の3人もニヤニヤ。
    「アホ。くだらん」

    • 老人と犬

    蕎麦を堪能して店を出ようとすると、ご主人が「今度いらっしゃるときは蕎麦の河道屋とゆうてください」という。
    オッサンらが「?」を頭の上に表示する。
    「河道屋とゆうと和菓子屋に案内されますから」
    その時は全員ピンとこなかった。後で気が付いたが和菓子の「蕎麦ぼうろ」といえば有名な河道屋、そこが総本家らしい。

    多少千鳥足だが道には迷わず宿に到着。早速、麻雀開始。残っていたつまみと焼酎と飲料水を飲みながら、ポン、チー、ツモ、ロンとご機嫌に興じる。二抜けは麻雀席の後ろからいらぬ解説する。飽きたら隣の和室でTV鑑賞。オッサンたち、徹夜麻雀と張り切っていたが、若い時のように体力が付いていかない。深夜2時近くになると大あくびの連発で、誰かが「寝るか」と漏らすと、「そうしよう」と全会一致。1階和室の8帖と6帖の2部屋に各2名、1階洋室6帖に1名が好き勝手に入って行って、そのまま爆睡。

    翌朝、目が覚めると既に他の4人は起きていた。
    1人は自転車で銀閣寺見学に出かけていて、もう1人は散歩中。宿に残った1人はTVを見ている。もう一人は2人分の朝飯を買い出しに行く直前。「朝飯いるか?」と聞かれ、「いや、いらない。俺も自転車で朝の京都を散歩してくる。朝食は途中で食うよ」

    歯を磨き、顔を洗い、十数台ある自転車に飛び乗り宿を出る。鴨川を目指す。昨日に続き晴天で、晩夏の暑さもなく、爽やか。
    南下してすぐ西に向かう。須賀神社、聖護院御殿南門が左右にそして後ろに流れていく。東大路通の交差点を過ぎると、右側に京大医学部附属病院、同部図書館、同大・iPS細胞研究所の建物群が続いている。
    鴨川に沿って南北に走る大道路、川端通に到着。左側にコンビニを発見。コーヒーとサンドイッチを買う。
    川端通を横断し鴨川東岸の河川敷に下りる。そのまま北進してベンチを見つけ降車。ベンチに腰掛けコーヒーとサンドイッッチを頬張る。頭上の木々の緑が丁度いい具合の日除けになっている。涼しい。目の前の河川敷を、朝のランニングをする若者が行きかう。散歩する老人、家族連れ、若者も多い。自転車も結構通る。

    南側から老夫人と娘らしき中年女性が黒いラブラドールを連れてやって来る。二人は何か和やかに話しながら目の前を通りそしてそのまま通り過ぎた。ちょっと遅れて茶色の毛並みのラブラドールを連れた老人が南側に見えた。
    何か犬に話しかけている。「さあ行くよ。おい」と言いながらリードを引っ張る。少し肥満気味のラブラドールはいやいやながら老人に付いて来る。

    太っちょラブラドールは筆者がサンドイッチを食べているのを見て立ち止まった。犬が見ている。距離的には4〜5mはある。老人も犬が食いしん坊の虫を出して立ち止まったことを悟って立ち止まる。そして筆者と目が合ってニガ笑い。筆者も思わずニガ笑い。

    老人が犬を促す。「さあ行くよ。もうみんな先に行ってしまったよ」みんなとは先ほどの黒いラブラドール連れの2人の女性たちの事らしい。老人がリードを強くグイグイと引っ張った。すると犬はペタッと腹を地につけて伏臥してしまった。「やだネ」と抵抗している。老人が構わずリードを再度グイグイと引っ張った。そうすると今度はドテッと体を横に倒し横臥してしまった。「いやだと言ってるだろう」と完全反抗状態。他人の目の前で人間の子供のように駄々っ子ぶりを発揮する飼い犬を見られて、老人は筆者の方を見てまたもやニガ笑い。筆者も思わずニガ笑い。

    「それじゃ、そこで寝ていなさい」と言うと、老人はリードを手離しスタスタと一人で歩き去った。犬は首を少し上げ、老人が歩み去るの見つめる。「下手な芝居は止めろ」とつぶやいているようだ。だが老人は振り返りもせず去っていく。犬はガバッと起き上がり伏臥姿勢になり老人の後ろ姿を見つめる。「オイ!本気か、俺を置いていくつもりか!」それでも老人は歩みを止めない。

    駄々っ子犬は遂にガバッと立ち上がると「オーイ!ちょっと待ってくれ!」と言わんばかりに重めの体を強引にピョンピョンと跳ねながら老人の後を追っていった。

    この微笑ましい光景を目にして筆者は京都らしいと思った。犬を躾けるのではなく家族のように接する飼い方に、自然とおおらかに歩調を合わせていく京都の気風のようなものを感じた。(他のオッサンたちの意見:愛犬家はみんなそうだよ。京都以外でも)

    残念なのはあの犬の名前が不明な点が少し心残りだ。とりあえず「ゴン太」にしておこう。「ゴン太のお気楽な朝の散歩」だった。

    (鴨川東岸南側から荒神橋を望む グーグル・アースから)

     

     

     

     

    • キラメキノトリ」でラーメン。四条河原町でさよなら

    宿に帰ると3人がTVを見ながら和室でゴロゴロしていた。銀閣寺見学に行ったオッサンはまだ帰ってはいない。

    「チェックアウトまで時間がある。麻雀をやろう」

    半荘の南場ラスマイ近くになって<銀閣寺>がようやく帰ってきた。半荘を終えて帰り支度開始。布団をたたみ洋室に運び、散らかした各部屋のゴミを片付けて終了。「京町屋聖護院」のご主人に電話。チェックアウトの11時にはなっていないが「お世話になりました」と感じのいいご主人にお別れ言う。

    天気は気持ちのいい秋晴れ。五人のオッサンたちはブラブラと歩きながら鴨川を目指す。筆者が朝、自転車で通った道だ。鴨川沿いの大道路 川端通に出る。そのまま南下すると右側に丸太町大橋に出会う。橋を渡る。空気は爽やかだが直射の陽ざしは暑い。「ラーメン屋はまだか?」「もうちょっと先。河原町丸太町の交差点の北側だ」

    宿を出る前に、<スモーカー>が、電池がヘタり気味のスマホに何度も大声で話しかけて近くの「ラーメン店」を検索すると「キラメキノトリ」がヒット。そこを目指している。全員ロクな朝飯をとっていないので空腹でグウグウ。

    (鶏ラーメンが美味いと評判の「キラメキノトリ」 グーグル・アースから)

     

     

     

     

     

    11時前に「キラメキノトリ」に到着。支度中ということで店舗前をウロウロ。11時ジャスト開店、店に入る。食券機で鶏白湯ラーメンと卵かけごはんを選ぶ。ちょうど千円。店名からも鶏を選ぶのが礼儀だし、「卵」を同時に選ぶことで親(鶏)と子(卵)との絆にも敬意を払う。オッサンのこだわりである。
    「どうでもいいから早く食券を買え」こだわりを持たない後ろの<スモーカー>がイライラとせっつく。

    理念も持たずに食事のメニューを選ぶ原始人は嫌いだ。

    卵かけごはんを平らげ、ラーメン汁の白湯まで飲み干した。満足。
    店を出る。「そろそろ帰るか」
    店のすぐそばにある停留所からバスで四条河原町へ。2人はそのまま降車せず京都駅へ。「また今度」
    3人が四条河原町で降りる。「俺は寺町商店街で土産を買っていくよ」「俺も高島屋で土産を買うつもりだ」

    ここでマグニフィセント・ファイブの旅は終わり。

    そしてマグニフィセント・ワンの旅が始まる。

    • 俵屋吉富で羊羹を買い、八坂神社から南進しJR京都駅へ

    筆者は2人と別れ、八坂神社に向かう。途中で俵屋吉富に入り、定番の羊羹「雲龍」と創作羊羹「水灯り」の各半棹セットを土産に購入。お茶と一緒にいただく絶品羊羹だ。

    外国人観光客でごった返す狭い道路を泳いで八坂神社にたどり着く。神社境内にも華やかな浴衣姿の外国人女性がそこここに。屋台の小さな可愛らしいアクセサリーを物色したり写真を撮りあったりしている。

    南楼門の石鳥居をくぐり八坂神社を出て南進。直進するにつれ道がどんどん狭くなって行く。相変わらず外国人観光客だらけ。道を突き当るとT字路に朱塗りの門と出会う。八坂庚申堂。人間の欲望を猿に例えその猿の四肢をくくりつけコントロールした姿、「くくり猿」が有名らしい。その欲望猿を封じる庚申さんを祀っているとのこと。なにやら孫悟空の頭の輪っか、「緊箍児」(きんこじ)を連想させる。

    朱門の右手前に「夢見坂」の道標がある。左に目をやると、そう、あの有名な京都を代表する人気スポットの1つ、「八坂の塔」が屹立している。インスタ映えするので大勢が「八坂の塔」をバックに写真を取り合っている。

    (八坂の塔を背景に写真を撮ってもらっている浴衣姿の外国人女性)

     

     

     

     

     

     

    坂を上り八坂の塔を見上げた後、右折れして南進を続ける。右折れ、左折れ、左折れして路地裏を南進する。さすがに人通りがなくなる。
    更に進むとまた車と観光客で賑わう五条坂に出る。行きかうバスやタクシーに注意しながら右折れして五条坂を下る。下った先は東大路通とぶつかった五条坂の登り口になる。そこを左折れすると大谷本廟の狭い側道坂が続いている。

    大谷本廟は通称「西大谷さん」と呼ばれ親鸞聖人の墓所。筆者の親も祖父母もここに納骨されていて、ここ十数年お参りに来てなかった。いい機会だと考えお参りしようと思った。ついでに来たのか!とご先祖に一喝されそうだが御免なさい。いろいろ事情があり来たくても来れないんです。側道の坂を上る。人通りはほとんどなし。お彼岸の時と大違いで閑散としている。山口花店が見えてきた。昔のままの店構えにタイム・スリップをした錯覚を覚える。店に入ってロウソクとお線香を買う。側道を挟んだ向かいには西大谷さんの明著堂の門がある。親鸞聖人の墓所(祖壇)前の拝堂が明著堂である。門を通り明著堂にロウソクとお線香をお供えしお参りする。筆者は浄土真宗の信徒ではないが、京にいれば京に従えである。

    お参りを終えて、明著堂を離れ、仏殿と読経所の通路トンネルを通て総門へ向かおうとすると石窟を発見。
    小さい時から何回も訪れているのだが初めて存在に気づいた。

    (明著堂から石窟を望む)

     

     

     

     

    石窟前に説明パネルがある。親鸞聖人がここで修業されていたようだ。裏付けとなる歴史的資料のことも書いてある。石窟はどう見ても自然にできた洞窟ではない。畳み3枚位を縦長に並べたような奥行きがある。

    筆者は自分ならどうここで過ごすか想像をしてみた。床の石畳みは体温を急速に奪うので板かダンボールを敷く。その上に断熱用のサバイバルシート(アルミ製ブランケット)を敷く。スマホがあれば退屈はしのげるが、たぶん電波が入ってこないハズだからケーブル(4〜5m位)付き携帯用外部アンテナもいる。食料・水もかなりストックできそうだ。トイレはさすがに外でしないと臭いで死んでしまうだろう。あとは寝袋を敷いてゴロッと横になるだけ。石窟内の味気ない壁や天井には、スカーレット・ヨハンソンの(イーデス・ハンソンとちゃいまんねんと明石家さんま風のボケをかましたりしながら)映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」のセクシーな特大ポスターを貼る。これぞ素敵な「石窟(セックツ)ライフ」。・・罰が当たるかな。

    西大谷さんの総門をくぐり、石階段を下り、東大路通の車道まで続く参道の石畳を通る。人通りは少ない。白髪の外人さんが2人の女性に話しかけている。道でも聞いているのだろうか。その先では浴衣を着た外国人の男女が、晧月池(こうげついけ)に架かる石造りの円通橋(えんつうきょう)で写真を撮り合っている。

    参道を出た右側は先ほどの五条坂の上り口。その上り口にあるのが小さなうどん屋「十六代 権太夫」。昔は「喜楽」という店名だった。親に連れられて西大谷さんのお参りの帰りにいつもここで食事したことを思い出す。暑い時期はここの「冷やしうどん」は最高だ。だが先ほど「キラメキノトリ」でラーメンを食べたばかリ。残念だが今回はパス。次回にしよう。

     そのまま真っ直ぐ五条大橋に向かい、JR京都駅を目指した。

    1泊2日の秋晴れの京都散策は楽しく終えることができた。

    マグニフィセント・ワンの旅もここらで終了としよう。

    安全・安心の汚リンピックの実現!それは犯罪者のセリフです

    • 「安全、安心の汚リンピック」、それは犯罪者のセリフです

    「安全・安心の大会を全力で実現していく!」 頼もしく聞こえても、それは中身の無い犯罪者のセリフです。

    (上級国民の皮をかぶった疫病神や死神たち。 サンデーモーニング2021.5.23ほか)

     

     

     

     

     

     

    • 特権を利用して我先にワクチン接種に群がる上級国民。下劣だ!

    ・日本の下級国民の自宅放置者、34537人(2021年5月12日時点:死者数は含まず)
    ・米国でも、貧困層や有色人種のコロナ死亡率が高い。

    上級国民の優先特例接種者(または未遂者:多すぎるので一部のみリスト)<どこが医療従事者だ>

    スギ薬局会長夫妻(接種直前で発覚。未遂に。愛知県西尾市の副市長が優先接種の便宜)
    オービッグ会長夫妻(千葉県鴨川市の亀田総合病院が便宜)
    セコム医療システム会長
    (なお当会長に接種した新東京病院では、他にも当病院職員以外の取引先の上級国民、少なくとも80人に接種しており、守秘義務があるため、氏名の公表はできないとの病院側の説明。ワクチンは税金で国から配布されたもので当病院の財産ではない。この秘密優先接種による見返りの金銭授受等があったかどうかは不明)
    森哲夫三田市長(高齢者接種開始5.17の前、5.13に接種)
    大阪府河南町の森田町長、茨城県城里町の町長と副町長と教育長、・・など次々と。

    (下級国民は自宅放置、上級国民は優先接種。それを良しとする世論をまん延させようとする吉本芸人応援団。サンジャポ2021.5.16、正義のミカタ2021.5.23、ほか)

     

     

     

     

     

    • 東京、大阪で最悪の自宅放置者の死者が発生する原因

    橋本徹「市町村長や知事などの首長は真っ先に接種すべき。首長は重大な政治判断をしなければならない」、
    ホンコン「余ってたら打ってもエエやん。何で騒ぐんや」

    大量の自宅放置者からのコロナ死が起きても、腐った上級国民は何ら痛みも責任も感じない。連中には上級国民優先、下級国民はその後という意識があるからだ。有能で公正で責任感がある知事や首長なら先にワクチンを打っても国民は文句を言わない。無能で無責任で有害な首長らに重大な政治判断はしてほしくない。「バカな大将、敵より怖い」の言葉のとおり、そんな連中の判断は国民を死地に導くだろう。鼻持ちならない特権意識!

    (首長優先接種擁護論を拡散する上級国民。 YAHOO!JAPANニュース2021.5.13)

    払いたくない!税金もNHK受信料も!

    2017.8.25公開記事

    ● 法を守らない国税庁長官が居座って納税しろだと?!いい加減にしろよ!

    田中龍作さんのサイトに、「佐川国税庁長官の罷免求め署名提出 「これで国家と言えるのか?」という記事がUPされていた。

    憲法も石破4条件も守らず国有公共財産を私物化している安倍政権を完全防護した官僚が国税庁長官に栄転。就任会見も開かずその座に居座ったままの状態が続いている。総理大臣も官僚も公僕だ。「国民に奉仕する人」である。その前提で国民も税金を納めているのだ。それを守れないなら国民も税金を納める義務は無くなる。

    このような異常な状態が続いていい訳がない。
    丁寧に説明をすると一国の元首がTVで断言しておいて、正反対の行動をし続けて許される訳がない。
    巨額の税金が使われるかもしれない獣医学部新設の責任者、加計孝太郎理事長が国民の前に出て来て説明もしない。佐川と同じ、釈明不要ということか。国民は税金だけ黙って差し出せということだな。

    もういい加減にしろよ。なにかフツフツと怒りのマグマが溜まっていく感じがする。

     ●A氏から。NHKに前川・元事務次官インタビューをなぜ放送しないか、問い質したという

    A氏から久しぶりに連絡が来た。

    A氏は籾井がNHK会長に就任した3年前(2014年)4月からNHK受信料支払いを拒否している。NHKが公共放送として相応しい報道姿勢に戻れば受信料支払いを検討してもいいと回答している。そしてスクランブル化して有料でも払う価値がある放送内容であれば、喜んで受信料を払うとも回答している。

    だがNHKは、放送法を逸脱しNHK服務準則等違反を繰り返す百田委員を放任。放送法の不偏不党や内規を守ろうとしない籾井会長を浜田経営委員長(当時)や上田監査委員(現在のNHK会長)がなぜ籾井の不法行為の差し止め請求をせず擁護するのかと問い質し続けたが、NHKからは「適切な回答」を返してこなかった(放送法27条違反)。そのためA氏もHNKが公共放送局の条件を順守していないと主張し、放送法も無視するなら受信料支払いを拒否するという姿勢を貫いている。

    また2015年5月にはA氏の自宅に2人の集金人が訪問。名刺を出さないのでA氏は彼らとの会話を録音。NHKから業務委託を受けているとNHKの代理人であることをA氏に告げた。これは顕名といい、NHKの代わりに行う行為であることを示している。2人は受信料を払ってほしいといい、A氏は上記の理由で払えないと返した。そこで2人は「今後NHKが今の態度を改め、改善しているとAさんが納得されたら払ってほしい」と告げて帰っていったのである。

    A氏は、重要な国会中継を放送しなかったり、前川・元事務次官インタビューを放送しなかったり、国会で問題になって不偏不党を疑われている岩田記者を出演させたりするNHKに改善は見られないとして受信料支払いを拒否していた。

    そして2017年6月14日、また性懲りもなくNHKから下記内容の郵送物が送られてきた。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    • A氏は、NHKが放送法27条を遵守し「適切かつ迅速に」に回答するか、手紙を出した

    A氏は下記(1)、(2)の2枚の文書を取扱い放送局営業部へ2017年6月29日に郵送した。

    要点は3つ。

    ①:前川・元事務次官がNHKからインタビューを受けたが放送されていないと疑念を公表している。これは国会の閉会中審査に自民党や現政権に不利になることをNHKが懸念して放送をしなかったと推測される。それは不偏不党の放送法に違反する。
    そうでないと言うならば、放送しなかった理由を回答せよ。

    ②:岩田記者の政権寄りの姿勢が第193回 国会総務委員会で問題になった。NHKは注意や処分などのコンプライアンス(法令順守)対応をとったのか?

    ③:「今後NHKが今の態度を改め、改善しているとAさんが納得されたら払ってほしい」という代理人の行為を無視するのか?

    である。

    それに対してNHKからの回答(3)が7月5日にA氏のもとに届いた。

    回答文の日付は6月30日になっているが。地元局でそんなに郵送日数がかかるハズがない。現にA氏が29日に郵送したのがNHKでは翌日の30日には回答している。ということは翌日には届いていた証拠。つまりNHKが投函したのは7月4日であり、回答(3)の日付は7月3日または4日頃である可能性がある。27条「迅速に」引っかからないように誤魔化した可能性があるとA氏は語っていた。

    そしてA氏の苦情・意見に対して、NHKは何と回答してきたか?

    下記のとおりである。

    ①、②については回答できないとのこと。そのあと、「放送法を基本として、公共放送として不偏不党を・・・」という守れもしない空念仏をクダクダと書き綴っている。

    ③につても代理行為についての是非には答えず、放送法64条のことに話をすり替えてご理解をと誤魔化している。

    とても「適切かつ迅速な回答処置」とは思えない。A氏も怒っていた。一方的に放送法・法令等を無視しておきながら金は出せと言う連中に、誰が「ハイ、分かりました」というものかと。まったく同感!国民をバカにするのもいい加減にしろ!

    (1)A氏がNHKに郵送した文面1

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    (2)A氏がNHKに郵送した文面2

     

     

     

     

    (3)NHKの回答文面

    A氏に再び受信契約の要求。訪問が待ち遠しいA氏

    2020.1.11公開記事

     ●犬HKは強引に受信料を徴収するために、放送受信規約を不当な文言に書き換えた

    A氏から手紙と資料が送られてきた。
    A氏は籾井が犬HK会長についた2014年4月から受信料支払い拒否を始めた。そして2018年8月頃、「4年半分の未払い受信料\70,740円払え」と請求書が到着したのを最後に、以来、犬HKから請求書が来なくなったという。その種明かしを未だ教えてくれない。先月2019年12月中旬、次期犬HK新会長に前田氏が決まったことで、連絡を受けたばかりだった。

    封書の内容を見て、すぐにA氏に電話した。
    筆者「どうも。今年もよろしくお願いします。資料受け取りました。また犬HKからラブレターが来たようだね」
    A氏「今年もよろしくお願いします。お送りした資料のとおり、どうやら、受信未契約者リストをプリントして、それを配送業者が我が家のポストに投函したようです」

    (1月初旬に、犬HKからA氏に送られてきた受信契約の督促案内状)

     

     

     

     

     

    「なるほど。で、どうするの?」
    「別に何もしないです。放っておきます。そのうちに「受信機をお持ちの方は、受信契約をしなければならないと法律で決まっています」と法律に無知な未契約者を脅しに契約代理業者が我が家に来るか、代理業者の訪問はコストがかかると犬HKが判断したら、同様のことをラブレターで送ってくるでしょう。これまでの経験から言うと、年に3、4回契約率を上げるために機械的作業でラブレターが来てましたね」
    「うっとうしいね」
    「そんなことないです。楽しみですよ。訪問なら録音機で「お・も・て・な・し」するつもりですし、ラブレターなら放送法27条(苦情処理)を久しぶりに使って、管轄支局の営業部長あてにラブレターを送るつもりです」
    「ラブレターの争点はどうするの?」
    「<うちのモニターは地デジ放送が受信できません。確認しに来てください>です
    「あ、この前のあれね」
    「そう、この前のあれです」

    「放送法64条1項と、犬HKが勝手に都合よく書き直した下位法の内規、犬HK放送受信規約9条との間に乖離があったね」
    「ラブレターの争点です。やりとりが始まれば、この点をまたお送りしますので、NETで暴露してください」
    「分かりました。次の連絡を楽しみに待ってます」
    「それじゃ、また」

    NHKよ!とうとうバレちゃったな。次の証人喚問は上田NHK会長だ

    2018.4.1公開記事

    • これは放送法第1条2項(不偏不党)違反であり、昨年12月6日の最高裁判決でのNHK勝訴の根拠が無くなる。NHKは受信料徴収はできない。

    NHK受信料不払いをしているA氏から電話があった。かなり興奮した声で、
    「NHKの内部告発で放送法違反が暴露されたのですよ!見ました?」
    「えっ!いつ?」

    A氏からの連絡を受けて情報収集を始めた。本当なら大ニュースだ。

    (放送法の不偏不党義務違反を内部告発! 日刊ゲンダイDIGITAL 2018.3.31)

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    3月29日の参議院総務委員会で衝撃の内部告発を上田NHK会長に突き付けた共産党・山下芳生議員。YouTube 7分24秒あたりから。

     

     

     

     

     

    筆者「確かに、これは大問題だね」

    A氏「昨年の12月6日の最高裁判決では「受信料でNHKを支える仕組みは国家機関等の支配や影響が及ばないようするためであり、また国民の知る権利を実質的に充足するためであり、合理性がある」として放送法64条1項(NHKの受信料徴収)は合憲である」と判断されNHK勝訴となったのです。つまり「NHKは公共放送としての義務を果たしている」という前提条件が守られていないと合憲ではないということになるのです」
    「そうだね」
    「籾井よりタチの悪い上田NHK会長は放送法を守っていると強弁しているが、それならこのクズ会長も証人喚問の場でどう答弁するか聞いてみたいですね。莫大な受信料を騙し取って嘘をついているのですから」

    • A氏、いまだに裁判所からの通知がこないので、伊藤詩織さんの報道を避けている件、名護市長選の不可解な開票報道の件、あるいは今回の件について営業部に手紙をだす予定とのこと

    「ところであなたが4年近く受信料を払わないので、昨年10月中旬にNHKからあなた宛てに来た受信料請求書に同封されていた通知に「法的手続き中」とあったと言っていたよね。その後どうなったの?」

    「あれから数回同じ封書がNHKから来てますよ。裁判所からはいまだ何も来てませんけどね。NHKからの脅しの通知は3月14日にも来ました。裁判所が忙しいのか、手続きが物凄く手間がかかるのか、森友をスピンして安倍政権擁護に忙しくてそれどころでないのか、分かりません」
    「なるほど」筆者は苦笑してしまった。
    「今度来たら、また放送法27条に基づいて、営業部に今回の大ニュースも含めて伊藤詩織さんの件や名護市長選の件のことを質問して回答させてやろうかなと思ってます」
    「楽しみにしてます。また連絡をください」

    (A氏に3月14日NHKから届いた4年近い未払い受信料62,880円の請求書。払わないなら裁判所を通すと脅している)

     

     

     

    警察署長ジェッシイ・ストーン シリーズ

    2017.9.3公開記事(2019.4.2加筆)

    ・2008年、レンタルビデオ店でたまたま借りた3部作。その出来の良さに感動。そして2010年、2半年ぶりにレンタルビデオ店で④話を発見。すぐさま借りて観賞。
    さらに2016年、「4番目の真実」を発見。どうやら第9話にあたるようだ。まだ見ていない残りを探さねば。

    ・2017年、エアチェックしていたら、AXNミステリーで第1話から第8話まで放送するという。やったー!という感じだ。すこしずつ味わいながら視聴後の感想を書いていこう。

    第1話:
    おや?どうやら「影に潜む」のようだ。なぜパラダイス警察署長に採用された経緯が分かる「暗夜を渉る」から放送しなかったのか?まあジェッシー・ストーンの背負っている過去も十分解るし、愛犬レジーがなぜジェッシー・ストーンのもとに来たのかも判明する話なので気にすることはない。

    ◎シリーズ・タイトル
    ①話「暗夜を渉る」
    ②話「影に潜む」
    ③話「湖水に消える」
    ④話「訣別の海」
    ⑤話「Thin Ice(薄氷)」(2019.4.5追記)
    ・・・・・
    ⑨話「4番目の真実」

    シリーズは①、②、③の時系列だが、個々に完結したドラマになっている。どれから見ても楽しめるが、3話ともお決まりの約束事がある。意表つくクライマックス、署長の近しいものが亡くなるか負傷する、などとなっている。より面白く観るために、主人公を取り巻く人間関係が理解できているほうがいいので、順番にご覧なることをお勧めする。

    ◎ストーリー

    ①話「暗夜を渉る」

    離婚で傷ついた、トム・セレック扮するジェッシイ・ストーンは、ロス市警を辞職し田舎町パラダイスの警察署長に採用される。アルコール臭を漂わせ、なんでも我流を押し通おそうとする。しかし実直に勤務するその姿に、眉をひそめていた署員も町の人も次第に信頼を寄せていくようになる。そんな折、殺人事件が起き、どうやら自身の署長採用に関係があるとみて捜査を始める。

    ②話「影に潜む」

    町で射殺死体が発見される。それが発端となり無差別殺人事件が続発する。署長のジェッシイ・ストーンは捜査を開始するが、抜け目なく巧妙に立ち回る犯人を逮捕することがなかなかできない。警察への早期逮捕の圧力も高まる。
    そこで尻尾を出さない犯人に対し、ジェッシイ・ストーンが誘いの罠をかける。

    ③話「湖水に消える」

    足にブロックの重りを付けた未成年の少女の腐乱死体が浮かび上がり、岸辺で発見される。 学校、家庭、家出先を捜査していくと、容疑者が次々と浮かび上がる。ところが、真犯人の巧妙な計略が隠されていた。

    ④話「訣別の海」

    署長ジェッシイを嫌い愚痴とひがみばかりを繰り返す部下のデアンジェロ。隙あらばジェッシイの足をすくおうとする。しかも若くて有望で目をかけ鍛え上げようとしていたスーツケースはスーパーの強盗事件で負傷し昏睡したまま入院中。人手不足の中、町のパトロールをして駐車違反のキップを切るジェッシイは、多忙な些事が続きアルコールが増えるばかり。医者の提言で、アルコールを忘れるために、没頭できる未解決事件を手がけることにした。窓口係を人質にとり逃走しわずかな金を奪って逃げた銀行強盗事件を手がける。人質はその後遺体で発見されたが犯人は未だつかまっていない。事件調書はずさんであまり役にたたない。関係者への聞き込みを始めると、不穏な男が付けてくるようになった。

    ⑤話「Thin Ice(薄氷)」(2019.4.5追記)

    ジェッシイと州警察のヒーリー警部が車で張り込み中、突然銃弾を浴びせられる。重症のヒーリー警部は動かない。右腕を負傷したジェッシイは、とどめを刺そうと近づいてくる相手に銃で反撃、負傷した相手は驚いて逃げ出した。パラダイス署に戻ったジェッシイに、町の行政委員会のトップ、ハンソンから呼び出しがかかる。ハンソンは、退職したデアンジェロの後釜に、義理の息子バトラーを押し込もうとするが、デスクワーク経験しかないバトラー採用にジェッシイは難色しめす。頑固で従順でないジェシイに、解雇することもできるぞと権限を振りかざし脅すハンソン。警察署に関することについては、指図は受けないと返すジェッシイ。

    署に戻ると、他州で起きた乳児誘拐事件の被害者である母親が捜索願いに来ていた。誘拐犯らしき人物からの手紙が届いて、それには「子供は愛されている」と記されていた。消印がここパラダイスとなっていた。

    町の行政委員会からは「町の観光にマイナスとなる事件に首を突っ込むな、収入源となる駐車違反キップ切りに励め」と促される。「君が追い出したデアンジェロは違反キップ切りはトップだった、署長として好ましくない」と面と向かって嫌味を言われる。

    わざわざ遠くから足を運んで乳児誘拐犯の捜査を依頼しにきた母親の願いを無視するのか、と部下から突き上げられる。昏睡状態から目覚めて通常勤務に復帰させたが、いまだ言動に不安定なところがみられるスーツケース。ジェッシイらを銃撃した犯人の手がかりや動機も皆目掴めない。ジェシイは深酒が多くなっていく。

    この5話からは、前4つの話とは微妙に違うストーリー展開になる。愛犬レジー、ヒーリイ警部まではお約束どおりだが、横糸的な少女が絡む事件が無くなった。もちろんそれだけではないのだが、なにかタッチが違う感じがする。

    ⑨話「4番目の真実

    相棒レジーを失い、こころのすき間を埋め切れない署長ジェッシイ。深酒に頼ったり町を離れた女友達を訪ねたりするが解決にはならない。そこで未解決事件に没頭しようと考え州警察のシドニー警部補を訪ねる。捜査能力は優秀だが問題行動が多いことを知るシドニー警部補は、報酬は経費だけでいいので未解決事件を担当したいというジェッシイの申し出に戸惑うが、信用して未解決事件ファイルの束を渡す。案の定、翌日酒を飲みすぎて遅刻し、任せていいのかシドニー警部補は迷う。どうしても事件を担当したいと押し通すジェッシイが選んだのが、「ボストンの切り裂き魔」事件。なぜその事件を選んだかとシドニーに聞かれ、事件ファイルに入っていた写真、4番目の犠牲者のそばでたたずむ飼い犬スティーヴ(名優ネッド)の写真を差し出す。早速ジェッシイは4人の娼婦を切り裂き自ら自首して捕まった犯人のリチャードと面会し話を聞く。するとリチャードは3人は確かに自分の犯行だが、4人目は違うという。自分の作品である3人の殺人を冒涜されたので自首したと話す。事件を掘り返すジェッシイに不可解な妨害が起きたり、動機のある人物が浮上してくるが、はたして犯人は。

    名優ネッドの名演技も見逃せない。輝くような美少女ジェニイ(マッケンジー・フォイ)も初々しく可愛らしい。

     

     

     

     

     

     

    ◎一級品のハードボイルド・サスペンス・ドラマ。トム・セレック入魂の作品。
    ハードボイルド小説の巨匠ロバート・B・パーカー作「警察署長ジェッシイ・ストーン」シリーズの原作に魅了されたトム・セレックが、主演、製作総指揮も行っている。
    主演のトム・セレックがいい。主人公ジェッシイ・ストーン、人生にくたびれて、アルコールが手放せない武骨な大男だが根は実直で心優しい。そんな彼も、圧力をかけてくる者や虚栄を張る者に対しては一転、抜け目のない反骨精神を内に秘めて反撃を開始する。重厚で渋みのあるドラマに出来上がっている。全体に暗く重い場面が多いが、セリフ、場面展開が緻密に計算されていて、クライマックスまで無駄のない構成になっている。派手な謎解き、こじつけたような推理もなく、逆にもの静かなトーンが洗練された心理描写を際立たせている。

    ◎原作者ロバート・B・パーカーの訃報を知って。
    2010年1月、本屋で原作者ロバート・B・パーカー追悼の全集が並んでいて訃報を知った。彼の本は一冊も読んでいないが、この警察署長ジェッシイ・ストーン シリーズでその原作もきっと魅力的だろうなと思っていた。そしてたまたま何気なく借りたビデオ「アパルーサの決闘」の硬派で重厚な世界に魅了された。特典映像でこれもロバート・B・パーカー原作だと知り、納得。
    この映画もトム・セレックと同様に、エド・ハリスが原作にほれ込んで主演から監督、製作、脚本までを手がけたらしい。素晴らしい出来だ。原作者R・B・パーカーの死去は非常に残念だが、これからも原作の益々の映画化を期待したい。

    映画「ミッドウェイ」の寡黙なタクシードライバーの謎

    2017.10.31公開記事

    映画「ミッドウェー」は米公開1976年6月(日本公開は7月)のユニバーサルの大作映画。日米両海軍の空母機動艦隊同士が激突決戦した太平洋戦争史上有名なミッドウェー海戦を描いている。この海戦で日本側は虎の子の空母4隻と重巡1隻、そして航空機284機を失っている。それに対して米側は空母1隻、駆逐艦1隻、航空機150機の損失。米側の大勝利となった。米側の戦闘評価はこの海戦後米軍が戦略的優位に立ち、その主な勝因は暗号解読の成功だと見ているようだ。

    筆者より詳しい専門知識のある方からは、そんな単純なものではないとお叱りを受けるかも知れない。様々な憶測がある「運命の5分間」、航空機決戦に転換せず艦隊決戦を重視した空母運用の失敗、米太平洋機動艦隊の戦力を過小評価した作戦計画、情報戦の軽視など様々な敗因があったと思う。

    しかし当ブログの主題は「ミッドウェー海戦の勝敗の真実」ではなく「寡黙なタクシードライバーの謎」。そこに繋ぐためにここでは米海軍情報局(ONI Office of Naval Intelligence)の視点で話を進める。無理な舞台回しですがよければお付き合いを。

    • 真珠湾奇襲情報を隠蔽・利用したキング提督?ヒストリーチャンネル「アメリカ海軍情報部」から

    ONIは米軍情報部隊の中で最も長い歴史がある。母体は1882年創設のONIだ。常時海軍関連の情報収集の任務を担当していた。無線が発達導入されるにつれ無線傍受、暗号解読にも注目した。また複葉機が導入されると飛行機による情報収集方法も模索し始めた。第一次世界大戦時、中南米などに敵国ドイツのスパイ監視に工作員を送りこんだりした。その活躍により組織規模は300名に膨らみ戦後も対抗勢力の監視を続けた。

    そして満州や中国に侵略を拡大し始めた日本。ONIは脅威対象として日本の海軍状況に注目し始めた。1924年、日本海軍のRED暗号を解読するためローレンス・サフォード大尉が指揮する調査部が発足した。1926年にはその任務をジョセフ・ロシュフォードが引き継いだ。そしてRED、BLUE、PURPLE暗号を解読していった。満州事変、日中戦争と戦火が拡大していったが、米はそのような日本の動向は把握していた。

    戦争突入が避けられない緊張状況が続く中、1941年初頭、在日アメリカ大使ジョセフ・グルーがある噂「日本が真珠湾への奇襲攻撃を画策中」と本国へ報告した。ONIはそのことを大西洋艦隊司令長官アーネスト・キング大将に報告したが、キングは無視した
    ONIとFBIは真珠湾と米西海岸で日本人スパイの動向を監視していた。ONIはサンフランシスコの717番街のビルの最上階に無線傍受の監視本部を設置した。当本部をエイスワース・フォスマー大尉が指揮した。フォスマー大尉は電気工学の知識がある航海士ロバート・ダンフォース・オッグを盗聴工作員として採用し、日本人スパイが会議で使うチャイナタウンのホテルにマイクを仕掛けさせてすべての情報を盗聴録音させていた。だが米太平洋艦隊司令長官ハズバンド・キンメル大将(米艦隊司令長官も兼務)には切迫する危機を知らされていなかった。真珠湾防衛の責任者、ウォルター・ショート陸軍中将も同様に蚊帳の外に置かれていた。二人は真珠湾攻撃を阻止できなかった責任を問われ解任された。上級情報部の失態のスケープゴートにされたという。

    このため大西洋艦隊司令長官キング大将が米艦隊司令長官も引き継ぎ、太平洋艦隊司令長官はニミッツ少将が大将に昇格して引き継いだ。
    キング大将はその後、上級の海軍作戦部長の職も兼務することになり元帥にまで昇進している。非常に強引で自説を通す性格であまり人から好かれる人物ではなかったようだ。
    これは推測だが、キングは中将を経ず自分を飛び越して上官である艦隊司令長官に就任したキンメルをよく思わず追い落とす機会を狙っていたのではないか。

    フォスマー大尉とオッグは日本の連合艦隊が刻々とハワイへ向かっていることを傍受していた。その解析結果を上官である第12海軍管区の責任者リチャード・マッカラ大佐に報告した。マッカラ大佐はルーズベルト大統領とも親しい関係であることも知っていたので、二人は危険な兆候もホワイトハウスにも届いていたと思っていた。ところがその報告は海軍情報部のどこかのラインで消失し大統領には伝わっていなかった。
    1941年12月6日(真珠湾攻撃の数時間前)、オッグは日本の連合艦隊がハワイの北800km付近にいることを掴んだ。興奮したオッグはフォスマー大尉の家に駆け込んで伝えた。「これは絶対なにかが起こるぞ!」
    真珠湾奇襲で米側は戦艦8隻、航空機300機の損害を出したが、空母は湾内にいなかったので無事だった。

    直後に日本海軍の暗号JN-25は真珠湾攻撃時は解読不能だった、という欺瞞隠蔽工作を米海軍は行った。日本を欺くために。

    日本海軍の動向監視を任務とする太平洋無線傍受局HYPOは真珠湾に拠点を置いていた。そしてJN-25を解読できたため日本軍の作戦は筒抜けとなった。米海運はポートモレスビー、ニューギニア、珊瑚海での日本軍の動向を事前察知していた。

    山本五十六連合艦隊司令長官は米・太平洋艦隊空母群のせん滅を目的とするMI作戦を計画し、極秘裏に着々と進めた。
    HYPOも日本海軍のただならぬ動きを察知していたが、日本海軍の無線防護が固く「AF」が何を意味するのか掴みあぐねていた。

    (ヒストリーCH「アメリカ海軍情報部」)

     

     

     

     

     

    • 再び映画「ミッドウェー」へ

    このHYPOを指揮していたのが上記のジョセフ・ロシュフォード中佐である。

    (ヒストリーCH「アメリカ海軍情報部」)

     

     

     

     

    映画では俳優ハル・ホルブルックが演じていた。特徴のある顔立ちで映画ダーティー・ハリーや大統領の陰謀での演技が印象に残っている。映画ミッドウェーに出演していた大スターの多くがもう鬼籍(死者の戸籍)に入ってしまっている。ただこの名バイプレーヤーだけは長寿を全うし、2021年1月23日、95歳の生涯を終えた。そして主役的な役の航空参謀長ガース大佐を演じていたのがチャールトン・ヘストン。このガース大佐がHIPOを訪れてロシュフォード中佐と面会する場面で、その前を横切るのが寡黙な「タクシードライバー」ロバート・デ・ニーロだ。

     

     

     

     

    日本軍の電文に出てくる攻撃目標を意味する「AF」が何を指すのか?ロシュフォード中佐はミッドウェーであると確信していたが、キング米艦隊司令長官は、日本軍は米西海岸を攻撃目標にしていると思い込んでいて取り合わない。そこでロシュフォード中佐がミッドウェーの駐留部隊から「真水が不足している」という偽電文を打電するよう要請した。するとこの罠が見事に的中、オーストラリアの無線傍受群が日本軍の暗号を傍受、「AFの真水が不足」と解読し、「AF」がミッドウェーであることを探り当てたのだ。この快挙に沸き立ち乾杯するスタッフの中にもロバート・デ・ニーロがいた。

     

     

     

     

    他にもニミッツ太平洋艦隊司令長官を演ずるヘンリー・フォンダとロバート・ワグナー演じるブレイク少佐が作戦本部で図上盤を前に作戦を話し合っている後ろを、資料もって行き来するロバート・デ・ニーロがいた。

     

     

     

     

     

    セリフは一切なし。しかし明らかにワンカット・エキストラでもない。エンド・クレジットにもロバート・デニーロの名前はなかった(筆者の見逃しでなければ)。

    何が謎なのか?
    映画「ミッドウェー」は1976年6月米公開。デ・ニーロは前年1975年2月に映画「ゴッドファーザーPARTⅡ」で若き日のドン・ヴィトー・コルレオーネを演じてアカデミー賞助演男優賞を受賞しているのだ。しかも映画「タクシードライバー」は1976年2月米公開で、第29回カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞を受賞している。既に目立つ存在であったであろうデ・ニーロがなぜセリフもクレジットもないのか?

    考えられる仮説として、「ミッドウェー」の撮影がデ・ニーロのアカデミー賞助演男優賞の受賞前に撮影されていて、無名の俳優だが何か光るものがあるということで、セリフなしだがバックシーンに入れてみようと監督らが試したのかも知れない。オーディションで演技力を認められたが、「ミッドウェー」では大スターばかりなので、さすがにセリフは与えられないが、海軍情報部の1スタッフ役で出演させたとなったのか。
    「ロバート、君は資料を持ってフォンダさんの後ろで行ったり来たりして情報部が活動している雰囲気を出してくれ。そう!いいね、そんな感じだ」といった風景があったのかも知れない。

    • 雑談コーナー

    映画「ミッドウェー」の背景にあった史実や戦史を知って見直すとより面白さが増す。ダンディーで二枚目のヘンリー・フォンダが演じたニミッツ大将、愛嬌のあるたれ目のロバート・ミッチャムが演じたハルゼー中将、そして渋いおじさんのグレン・フォード演じるスプルーアンス少将。

    筆者の目にはこの三人は政治的野心がなく誠実に軍務を遂行する人物に映る。特にハルゼーは勇猛果敢なブルの愛称があるが、率直な人柄のようだ。真珠湾攻撃を阻止できずスケープゴートにされた同期のキンメル大将を擁護したり、有能なスプルーアンスの能力を見抜いたり公平実直な感じがする。反面、キング提督は軍事的判断力に疑問符が付くし、言動からも政治的野心が旺盛で策謀家のイメージがプンプン臭う。嫌なタイプだ。筆者はスプル-アンスが好みだ。なぜかというと名前が変わっていて語感がいい。彼の伝記を読んだことがあるが手堅く卒なく物事を片付けていく軍人らしさが気に入った。だからといって冷たい能吏的な人物ではない。苦労人であり味のある人情家だ。例えれば誰か?うーん、そう、ムダ口を叩かず前へ前へと進むNCISのギブスだ。