- IAEAは国連の機関ではない。内部被ばくを認めないUNSCEAR。
世界は原発推進・安全派が圧倒的多数で、反対派は少数である。なぜか?
原発産業・核兵器関連産業には莫大な資金が投入されてきて、今も投入され続けているからである。そこに研究・従事・関係する人も多数だからである。
WHOの専門委員だった医学博士のミシェル・フェルネックス医師は、チェルノブイリ事故による放射能が及ぼす健康被害について、IAEAとWHOが結託して事態の隠蔽を謀ったことを暴露した。博士はIPPNW(核戦争防止国際医師会議)の元会長職にも就いた医学的良心に基づいて活動した人物である。
下図をご参照。
◆IAEA(国際原子力機関)は国連の専門機関ではない。国連の事実上の最高意思決定機関である国連安保理(核大国5か国が常任理事国:米露中仏英)に従属する、原子力の平和利用の促進を目的する自治機関である。といえば聞こえが良いが、主目的は核の独占を謀る核大国が、原発由来のプルトニウムなどの核兵器の原料が拡散するのを監視する機関である。また原子力反対の世論を抑え込むための機関でもある。
◆UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)は国連の機関。1950年代の核実験によるフォールアウトで世界的な放射能汚染が問題となったため、核反対世論を科学的になだめるために設置された。UNSCEARが発表する放射線防護の報告書や基準等は、IAEAやICRP(国際放射線防護委員会)の基礎資料となっている。
(放射線の影響を軽視する原子力推進派の三位一体:IAEA、UNSCEAR、ICRP)
<UNSCEAR委員長 「福島原発事故で健康への影響考えられない」>
2011年5月23日、国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR:事務局ウィーン)のワイス委員長は記者会見し、福島第1原発事故で放出された放射線について「これまでのところ(住民の)健康に影響するとは考えられない」と述べた。
<UNSCEAR 「内部被ばくは認めない。被ばく線量が問題である」>
1995年WHO中嶋宏事務局長(当時)が700人の専門家や医師をジュネーブに招集し、チェルノブイリ事故についての国際会議を開催した。しかしIAEAの妨害で議事録は公表されなかった。原子力産業への打撃を考慮したためである。
2001年2月12日ジュネーブのWHO本部の玄関前。次回(4か月後、6月4日のキエフで)のWHO総会で議事録を公開するよう良心に従う医師たちがWHO幹部に嘆願書を提出した。
しかしフェルネックス博士は心配する。
「UNSCEARやIAEAも総会に出席するだろう。彼らには莫大な資金があるので、貧しい国の専門家を買収するのは容易で、1万ドルでずいぶん買収できるのです」
(WHOの隠蔽を正す医師たち。YouTube「真実はどこに?-WHOとIAEA放射能汚染を巡って」:既に動画は削除)
2001年6月4日キエフ、WHO総会。案の定、議事録は公表されなかった。
①:IAEAのA・ゴンザレス代表の楽観的な報告に続いて発表に立った、ANSCEARのN・ゲントナー代表。
「既に述べられたように除染作業員の間でも白血病患者の増加は確認されていません。癌の増加についても科学的証明は一切ない。その他の非悪性疾患も事故による増加もない。ゴンザレス博士が述べたように、大多数の住民はチェルノブイリ事故による深刻な健康被害を心配する必要は一切ありません」
(上記のとおり、福島原発事故でもUNSCEARワイツ委員長も同様の発言をしている)
②:あまりにもデタラメなIAEAとUNSCEARの発表に「Shocking!Shocking!(ひどい!ひどすぎる!)」と憤るロシア科学アカデミーの環境政策センター会長で生態学者のアレクセイ・ヤブロコフ博士。
③:総会の休憩時間に廊下で議論するUNSCEARゲントナー代表とフェルネックス博士。
「この15年のセシウム汚染の大半は体内汚染なのでは?」と問い質すフェルネックス博士。
④:その問いに対しゲントナー代表は、
「体内ではありません!被曝が体内か体外か、そんな考えは認めません。メカニズムがどうであれ問題なのは被曝線量です」
(大荒れのWHOキエフ会議。YouTube「真実はどこに?-WHOとIAEA 放射能汚染を巡って」:既に動画は削除)
ヤブロコフ博士は発表の冒頭、怒りを込めて吐き捨てるようにIAEAとUNSCEARの態度を批判した。
「事故の明白な影響を認めない人たちの結論だ」
そして次のような明白な悪影響があったと早口で叩きつけるように発表した。
「流産の増加、死亡率の上昇、新生児患者の増加、遺伝子への悪影響、先天性奇形児の増加、癌の増加、精神機能発達の遅れ、精神病患者の増加、免疫系の状態悪化、ホルモンの状態変化、心臓血管系の病気、病気回復の遅れ、老化の加速、子どもの成長の遅れや異常な衰弱状態、せめてこのリストは認めるべきです」と発表を締めくくった。
(怒るヤブロコフ博士。YouTube「真実はどこに?-WHOとIAEA 放射能汚染を巡って」:既に動画は削除)
今回の総会の議事録も隠されてしまうことを恐れて、良心に従う医師たちがYouTubeで公開したと思われる。